◆“踏み台”にされる稀勢の里
一方、すっかり存在感を失いつつある唯一の日本人横綱・稀勢の里は、秋巡業の全日程に参加する予定。
「土俵を離れるのが不安なので、“負けてもいいから出たい”という意向のようです。左胸から上腕部にかけて負ったケガの回復は思わしくないが、周囲も休ませる説得はできないでしょう」(前出の協会関係者)
巡業先では土俵入りや綱締め実演、勧進元との記念撮影など、「横綱の仕事」が数多くあり、全日程参加なら稀勢の里がその多くを担うことになる。ただ、万全の状態でないとなると白鵬とは逆に、「九州場所で初顔合わせとなりそうな阿武咲をはじめとする若手が“稀勢の里に勝てた”と自信をつける体のいい予行練習になりかねない」(同前)のである。
夏巡業で積極的に稽古に励む姿が見られた阿武咲、貴景勝、朝乃山は秋場所でも結果を残し、横綱・大関とぶつかる地位に上がってきた。秋巡業では白鵬や稀勢の里とどんな相撲を取るのか。それが九州場所の結果、そして4横綱の“力士寿命”にも大きくかかわってくる。
※週刊ポスト2017年10月13・20日号