鈴木:二次団体である幸平一家の加藤英幸総長は、住吉会の代紋に加え、幸平一家の代紋も捨てていない。本来なら山口組の「菱」のように、上部団体の代紋だけを使うのが当たり前ですから、もともと独立性が強かった。住吉会は神戸山口組と関係を持たないのに、加藤総長は井上組長と関係が深いから訪問したりもしていました。それでも、西口総裁という重石があったからまとまっていたわけですが。
溝口:住吉会も今後、分裂していく可能性が高い。
鈴木:そもそも今は大組織にいる意味がないんですよね。ほんの10年ほど前までは暴力団も「寄らば大樹の陰」で、地方の暴力団が山口組をはじめ稲川会や住吉会の傘下に入る流れがありましたが、暴排条例によってむしろ「山口組だから警察に狙われる」「身動きが取りづらい」といったマイナス面が増えた。おまけに上納金まで吸い上げられるわけです。「やられてもトップが逮捕されるのが怖くて報復できない」と分かっているので、独立しても怖くなくなってきている。
溝口:松葉会(東京)もすでに分裂状態にあった関東関根組が今年4月に正式に独立しました。
鈴木:もとは松葉会が六代目山口組と親しかったんですが、最後は松葉会と関根組の間を司組長が口を利く形で独立が認められたんですよね。
溝口:そう。それで警察のなかでも「任侠山口組よりも先に関根組を指定暴力団にしたほうがいい」なんて声も上がっている。50人ほどですが、後ろ盾を必要としていない。