「飽きない会話」を追求するバンダイナムコグループのロボット


 そして、最後に向かった玩具メーカーのバンダイナムコグループのブースで、違った意味で驚愕の対話型ロボットを目にした。

 ここではバンダイと日本IBM、VAIOが協業で開発した『機動戦士ガンダム』の知識を豊富に持ち、心ゆくまでガンダム話に花を咲かせることができる『ガンシェルジュ ハロ』など進化したAIロボットの展示もあるのだが、ユニークなのはグループ会社のウィズが開発した新コミュニケーション玩具の対話ロボット『QC-RO(キューシロー)』だ。

 何が驚きなのかというと、人間との対話が成立しているようで、まったく噛みあわないのである。

担当者:昔の名作ゲームの話したら、一緒にゲームつくろうって言ってたよね。
QC-RO:壮大な……でしょ?
担当者:そうそう。覚えてたんだね。
QC-RO:お客さん、風呂って壮大?
担当者:さっき話したのは、風呂じゃなくて“プロ”だよ。
QC-RO:客ヤバい!
担当者:お客様はヤバくない!!(ロボットの頭部にあるボタンを軽く叩く)
QC-RO:あ~怒られちゃった。

 まるで漫才のような掛け合い。スムーズな会話ができるAIロボットが多数展示されているCEATECの中では“出来の悪さ”が際立ってしまうが、実はそこが狙いだという。開発担当者がいう。

「人の質問に正しく答えるAIはたくさん出始めていますが、われわれのような玩具メーカーが便利なAIをつくっても到底他社にはかないませんし、そこは敢えて目指していません。

 それよりも、多少おバカなことやデタラメなことを言っても“相棒”として愛着を感じ、自分の好きな話題で喋ってくれるかどうかに主眼を置いて開発しました。イラッとさせることも多々ありますが、ときにホロっともさせてくれる。人間が感情を揺さぶられ、一緒に会話を楽しむことができる。こうした飽きないロボットの開発こそわれわれが得意とする分野なんです」

 単にスムーズな対話能力や生活のサポートのみならず、コミュニケーション自体を楽しませる“人間らしさ”まで追求し始めたロボット。今後、日本社会でどれだけ広がっていくのか。IT・家電ジャーナリストの安蔵靖志氏が予想する。

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