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2017.10.06 16:00  マネーポストWEB

森永卓郎氏が解説 今の40代世代を襲う「年金4割カット」の現実味

経済アナリスト・森永卓郎氏が将来の「年金4割カット」の現実味について解説


 2016年12月に改正国民年金法が成立し、デフレ下で見送られたマクロ経済スライドは蓄積され、物価上昇率がプラスになった時に一気に発動されることになった。その結果、今後は平均すると毎年1%程度ずつ確実に実質的な年金支給額が下がっていく。問題は、どこまで下がるのかということだ。経済アナリストの森永卓郎氏は「年金65歳支給を守ろうとすると、将来的に現行支給額の4割はカットされることになるだろう」と予測する。以下、森永氏が解説する。

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 厚生労働省が年金の支給開始年齢をひとまず70歳に繰り延べしたいと考えているのは間違いない。とはいえ、65歳支給自体が実はまだ移行期間で、段階的に支給年齢が引き上げられている特別支給の老齢厚生年金の65歳前支給が終了する(男性は2025年、女性は2030年)まで完了しない。かつて支給開始年齢を繰り延べしようとして国民の猛反発を買い、断念した経緯もあって、厚労省も当面は繰り延べするのは困難と考えているだろう。

 ただし、日本の年金制度は年金支給のために必要な財源を、その時々の保険料収入から用意する「賦課方式」であるため、少子高齢化で支える側が減って、もらう側が増えていくわけだから、年金の給付水準が下がるのは避けようがないことも現実だ。制度を維持しようとすれば、「保険料の引き上げ」か「給付水準の引き下げ」か「支給開始年齢の繰り延べ」かの3つしか選択肢はないのである。

 3つの選択肢のうち、保険料をこれ以上増やすのは、会社員にも会社にとっても耐え切れず非常に困難だ。また、政府が年金支給年齢を繰り延べるといった途端に、国民の反乱が起きてしまう。そうした点から、当面、最も可能性が高いのは、年金の給付額がズルズルとカットされていくことだ。

 では、年金支給水準はどこまで下がる可能性があるのか。厚労省は2014年6月に、年金制度の「財政検証」の結果を発表した。そこでは経済成長率の前提が異なる8パターンの将来推計が示されており、ケースAからケースEの5つのケースは将来的にも厚生年金の所得代替率50%が維持できる、つまりは現役世代の手取り収入の50%以上の年金を保障できるとしている。ただし、この5つのケースはすべて、65~69歳男性の労働力率は67%と3分の2の高齢者が働く前提となっているのだ。

 一方、高齢者の労働力率が現状と変わらないとしたケースFからケースHの場合では、所得代替率は最悪35~37%まで低下する。これは、年金が実質的に4割もカットされていくことを意味する。

 この財政検証が言わんとしているのは、今のままの年金制度を続けていれば、年金支給額は確実に減っていく。それが嫌だというなら、みんな70歳まで働いて年金保険料を払い続けろということに他ならない。これが安倍政権の提唱する「一億総活躍社会」の正体であり、70歳支給を国民に納得させる布石でもある。実際、年金を確実に下げていき、高齢者が音を上げたところで「生活が苦しいのだったら支給開始年齢を遅らせましょう」と言い出すに決まっている。

 今後の生活防衛術として、少なくとも現在40代より下の世代は、年金が現行支給額の4割カットになると思って生活設計をしておくべきだろう。現行支給額は、平均的給与で40年勤務したサラリーマンの夫と専業主婦の夫婦の場合、2人で月額約22万円。それが4割カットとなると、夫婦で月額約13万円しかもらえなくなる。つまり、現役時代から、将来は夫婦で月13万円で暮らせる生活を考えておく必要があるということだ。

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