芸能

がん生還の村野武範 「1人の医師が匙を投げても諦めるな」

中咽頭がんから復帰した村野武範

 映画『八月の濡れた砂』やドラマ『飛び出せ! 青春』、そして『くいしん坊! 万才』のレポーターとして知られる俳優の村野武範氏(72)。首にできた小豆大のしこりに気づいたのは2015年5月、70歳の誕生日を迎えた直後だった。

「都内の病院で精密検査を受けると、中咽頭がんで既に3か所に転移がみられるステージIVの“末期がん”と診断されました」

 自覚症状がまったくなかった村野氏は、“そんな馬鹿な”と半信半疑だったが、医師からは「余命は聞かない方がいい」という言葉が返ってきたという。

「もうすぐ死ぬという宣告を受けたのに、まったく実感がわかなかった。ただただ、医師に告げられた“現実”を受け入れるしかないのか──という心境でした」

 そんな村野氏を支えたのが夫人の存在だった。

「医師は『どこの病院で治療しても同じ』と言い放ちましたが、妻は諦めなかった。先進医療による独自の治療法で中咽頭がんの根治に成果を上げている、東北地方の病院を探し当て、『ただ死を待つより、その病院での治療に賭けよう』といってくれた。藁にもすがる思いで病院を訪れると、『大丈夫、うちで治療できますよ』と言ってもらえたのです」

 その後、入院し、陽子線をピンポイントでがんの病巣に照射する治療などを1か月半受け、間もなく仕事に復帰した。2年半経った現在、がん細胞は消え、今のところ転移や再発はないという。

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