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落合信彦氏 「アメリカはもはや世界の警察官にはなれない」

兄弟ともに哲学を持っていた ZUMA Press/AFLO

 混沌とする世界情勢にあっても、歴史の偉人たちは叡智を結集し、難局を乗り越えてきた。その時、彼らが武器としたのは「言葉」だった。長年、各国のリーダー、英雄たちを取材してきた落合信彦氏が、アメリカのリーダーたちが遺したメッセージを、未来を担う読者へお届けする。

 * * *
 アメリカ合衆国第35代大統領のジョン・F・ケネディは、就任演説で彼の政治哲学、歴史観、理想と夢、そして現実的かつ具体的政策などすべてを盛り込んだスピーチを行った。東西冷戦の真っ只中、ケネディは西側諸国の結束を訴える。そしてソ連を筆頭とする東側諸国に対しては協調を説く。その上で国民にこう語った。

「わが同胞アメリカ国民よ、国家があなた方のために何をするかではなく、あなた方が国家のために何ができるかを問うてもらいたい」

 いかがだろうか。次の選挙で当選することしか頭にない、「議員であり続けること」を最重要課題とする今の政治屋たちには決して紡ぐことのできない言葉である。アメリカがわが世の春を謳歌していた時代にありながら犠牲を求める。繁栄と自己満足にひたっていたアメリカ国民に、冷戦という現実の厳しさを心得ながらも、知られざる未来に立ち向かっていく決意を抱かせたのだ。

 そんなケネディが1963年に非業の死を遂げた後、アメリカに残された最後の希望はロバート(ボビー)・ケネディであった。

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