2015年6月にも、埼玉県の住宅で、80代の女性が遺体で発見された。女性はひとり暮らしで、室内は足の踏み場もないほどのゴミで溢れていた。いずれのケースもセルフネグレクトによる孤独死の可能性が指摘されている。
高齢者のゴミ出し難民化は死に直結する問題だけに、行政の介入が不可欠。そのため、全国の各自治体では、高齢世帯のゴミ捨て支援サービスが存在しており、その利用者は増加の一途を辿っている。
例えば神奈川県横浜市では、高齢者世帯の自宅までゴミを集荷しに行くサービスを実施。2006年の利用世帯が524だったのに対し、2016年は6214と10倍以上に増えた。兵庫県神戸市では自宅までのゴミ集荷に加え、指定日にゴミの出ていない世帯には呼び鈴を押すなど、高齢者の見回りサービスに結びつけた支援を開始している。
「行政だけでなく、私たちにできることもあります。マンションの場合、ゴミ屋敷化の兆候が表れやすいのが集合ポスト。ここが放置され、中身がいっぱいになっている場合、室内がゴミ屋敷になっている可能性がある。玄関前の共用通路にゴミを置き始めるのも、ゴミ出し難民化した高齢者に多いパターンです。こうした異変を見つけたら、まず管理人、あるいは地域包括支援センターに伝えましょう」(岸教授)
体力や人手が足りない場合は、清掃業者を頼ることもできる。清掃業と遺品整理代行を手がける清掃会社『まごのて』の佐々木久史社長が語る。
「“なぜゴミ屋敷が生まれるのか”という根本的な問題を解決できるよう、大学と共同で研究している最中です。『心と部屋の問題』はまだまだ深めていかなければならない分野ですし、現場でしかわからないこともある。ゴミで悩んでいるかたは、まず私たち清掃業者に電話してほしい。一緒に解決できることがきっとあるはずです」
ゴミ屋敷は1日ではできあがらない。最悪の事態になる前に、私たちがすべきことはたくさんある。
※女性セブン2017年10月19日号