さらに言えば、名子役演じるおてんばなお嬢さんと厳格な父というのは、以前の『あさが来た』にもあったパターン。幼少期に年上の男性と運命の出会いをしていることや、洋装のカッコいい男(『あさが来た』では、ディーン・フジオカがいましたね)が身近にいてくれることも近い。
てんを巡っては、藤吉、伊能、風太、3人がそれぞれに思いを抱くことになる様子。心優しいが病弱な兄新一(千葉雄大)の行く末も気になる。今後、どう視聴者を裏切り、目をくぎ付けにしてくれるか、そこが勝負になると思う。
もっとも別の楽しみもある。その第一は、藤吉の母で、てんの姑になる鈴木京香の存在だ。鈴木といえば、大河ドラマ『真田丸』で暴走する秀吉にもビシッと言うことは言う強い妻ねね役が忘れられない。『わろてんか』予告編では藤吉とてんの結婚に大反対、「女中としてなら、置いたるわ」と言い放つシーンが…。目を細めた鈴木京香に叱られると思っただけで、身がすくむ。その姑ぶりは見物だろう。
また、遠藤が仏頂面のまま「これでも笑てる」というのは『真田丸』で清水ミチコが演じた“笑わない女”の場面を思わせるし、何でもズバズバ言う藤岡屋の女中トキ(徳永えり)が、風太に向かって「ちんちくりんの金太郎みたいな顔して!」などとあのCMを思い出させるセリフもある。こうしたくすぐりも、このドラマの味となっていくのか。
舞台が大阪・天満に移ると、芸人役で藤井隆、内場勝則らこれまた「鉄板感」いっぱいのキャストが待っている。朝ドラ好きとしては、鉄板もいいが、「これは危ない橋を渡ったな~」と思える鉄砲玉キャストや悪人も欲しいところ。だって、そういうことが一番できそうなタイプのドラマですよね? 出でよ! 鉄砲玉。