たとえば有名ホテルチェーンの「プリンスホテルズ&リゾーツ」は、東京シティエリアの各施設をはじめ、10月2日開業の「名古屋プリンスホテル スカイタワー」は目下注目のホテルトピックであるし、各地のリゾートホテルでも従来のイメージが一新されつつあるブランドだ。
そのような中、宿泊特化型である「Prince Smart Inn(プリンス スマート イン)」のコンセプトを6月16日に発表し話題となった。2019年度を目途に全国各都市への展開を予定しているとし、エリアによって異なるものの価格帯はラックレートで1室1万円前後を想定しているという。
「ロイヤルパークホテルズ」も新ブランドを発表している。その名も「ザ ロイヤルパーク キャンバス」。同社では、すでに宿泊主体型ブランドも展開しているが、ザ ロイヤルパーク キャンバスは宿泊主体型という中にあって、従来の一般的な既成のホテルサービスではなく、ゲストが滞在スタイルに合わせて自由に利用できるホテルをコンセプトとする。
同社の展開する宿泊主体型ホテルブランドの料金帯を鑑みると、エリア間の差もあるだろうが、こちらも1室1万円前後~という価格帯になろうか。
ゲストが滞在スタイルに合わせて利用するホテルステイといえば、2019年に新浦安地区で開業予定の「ハイアットプレイス東京ベイ」も挙げられる。ハイアットといえばラグジュアリーなフルサービスのイメージだが、日本初進出のブランドであるハイアットプレイスは廉価版・宿泊主体型だ。
直近の外資系の宿泊主体型ホテル日本進出で話題なのが、マリオットの廉価版・宿泊主体型である「モクシーホテル」だ。11月1日に「モクシー東京錦糸町」が開業、モクシーブランドの日本初進出となる。
節約志向の旅行者向けブティックホテルというコンセプトのもと、スタイリッシュかつリーズナブルな料金が特徴だ。ハイアットプレイス、モクシーホテルともにゲストが受けたいサービスを選ぶ“セレクトサービス”も特徴とされる。こちらはすでに予約サイトへ掲載されているが、1室1万円台後半~の設定もみられる。
宿泊主体型ホテルがますますフィーチャーされる中で、同カテゴリーへの外資系参入は今後さらに進んでいくものと思われる。宿泊主体型は国内ブランドが席巻してきた業態だが、ことインバウンド需要の取り込みは外資系ブランドの強みでもある。
筆者はこれまで、大都市のフルサービス型・デラックスホテルの外資vs内資という構図を指摘してきた。宿泊主体型ホテルへのインバウンド需要も相当なボリュームになりつつある現在、廉価版・宿泊主体型おける内資vs外資の動きにも注目していきたい。
■文/瀧澤信秋(ホテル評論家)