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2017.10.14 12:30  マネーポストWEB

森永卓郎氏 現役時代にしておくべき「脱・老後破産」の準備

経済アナリスト・森永卓郎氏が解説

 厚生労働省は2014年6月に、年金制度の「財政検証」の結果を発表している。そこでは経済成長率の前提が異なる8パターンの将来推計が示されており、それを見る限り今のままの年金制度を続けていれば、年金支給額は確実に減っていき、現在40代より下の世代は年金が現行支給額が「4割カット」されることも現実味を帯びていることがわかる。そうした時代の到来に備え、何を準備すべきか。経済アナリスト・森永卓郎氏が解説する。

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 年金の現行支給額は、平均的給与で40年勤務したサラリーマンの夫と専業主婦の夫婦の場合、2人で月額約22万円だが、それが4割カットとなると、夫婦で月額約13万円しかもらえなくなる。そうした年金4割カット時代になれば、老後破産する人が続出することは想像に難くない。それを免れるためには、十分な老後資金を蓄えるなど事前の準備が不可欠だ。その準備を怠ると、定年退職後も体が動く限り非正規でもなんでもひたすら働くしか選択肢はなくなってしまう。

 そんな生活を強いられないために、現役時代からやっておくべき対策はもちろんある。まず、真っ先に考えるべきは、家賃なしで終の棲家とできる家を確保することだ。定年退職後は通勤の必要がなくなることを考えれば、意外に難しいことではないだろう。例えば、今は住まいの都心回帰が進んだため、都心への通勤時間に1時間半以上かかる郊外の物件が暴落状態となっていて、最寄り駅からちょっと離れた物件なら1000万円前後で購入可能となっている。そうした物件を預貯金で購入しておけば、毎月の固定費で一番大きい住居費がほとんどかからなくなるのである。

 次にやっておきたいのは、食費や光熱費、通信費などの生活の基礎代謝を下げて、普段から安いコストで暮らせる習慣をつけておくことだ。さらに、将来の生活設計から老後資金に不安があるという人は、年利2%程度など一定の利回りで運用して資産を殖やすことが不可欠といえよう。

 その手段としてまず注目したいのは、個人型確定拠出年金(iDeCo)だ。60歳以上の人は加入できないというネックはあるが、59歳以下の世代の人には圧倒的に利用価値が高い。その最大の特徴は、税制面のメリットが非常に大きいことだ。まずは掛金の全額が所得控除の対象となり、それにより所得税や住民税を軽減できる。例えば、年収500万円で所得税と住民税の税率がともに10%という人の場合、合わせた20%分が軽減されることになる。いわば「20%の利回り」を先取りできる金融商品なのである。

 また、運用して得られる利益も非課税となり、さらに年金として受け取る際は雑所得として公的年金等控除の対象になる。また、一時金で受け取る場合も、退職所得控除が適用される。つまり、「拠出・運用・給付」の3段階で、税制面のメリットはNISA(少額投資非課税制度)をはるかに上回る。

 2018年1月からスタートするつみたてNISA(少額投資非課税制度)も注目だ。現行のNISAが年間120万円までの投資を5年間行なえるのに対して、同じ少額投資の非課税制度ながら積み立てNISAは年間40万円の投資を20年にわたって続けることができる。つまり、積み立てNISAは長期間かけて老後資金を作るための投資を優遇する制度といえるのだ。

 こうした制度を駆使して少しでも資産を殖やし、将来の老後破産シナリオから抜け出せるよう準備しておきたい。

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