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2017.10.24 18:00  マネーポストWEB

親の認知症対策として注目 家族が財産管理する「家族信託」

家族に自分の財産の管理や処分を託せる方法が注目されている

 親の認知症対策として最近注目されている「家族信託」と「成年後見制度」。それぞれにメリット/デメリットがあり、補完しあって超高齢社会に役立つ仕組み・制度だという。ここでは「家族信託」について、司法書士みそら総合事務所代表で、家族信託専門士の酒井俊行さんに詳しく聞いた。

「家族信託とは、文字通り信頼できる家族に自分の財産の管理や処分を託せる方法です。平成18年の信託法改正で、営利を目的としない家族間での信託がしやすくなったことで、成年後見制度では制約の多い財産管理を柔軟に行うことができます。

 たとえば親が認知症になり判断能力が低下すると、こんな困りごとが起こりがちです。

●その親名義の定期預金の解約ができなくなる。
●その親名義の不動産の売却ができなくなる。
●その親名義の不動産(賃貸物件など)の管理・運用ができなくなる。
●その親が相続人のひとりである場合、遺産分割協議ができず相続手続きが滞る。

 こうなると親の財産を本人の介護費用に使うこともできなくなってしまいます。しかし事前に親(委託者)と子(受託者)が家族信託契約を結んでいればこれらの問題もスムーズに解決できます」(酒井さん。以下同)

 具体的にはこんなしくみだ。

「●委託者(財産の持ち主)、●受託者(託された財産を管理・運用・処分する人)、●受益者(管理・運用・処分による利益を受ける人。委託者と同一人でも可能)と、◆信託財産(託される財産)の範囲、◆信託の目的(「親の安心安全な生活のため」など)を定めます。

 信託財産は、便宜上、受託者の名義に変更されますが、信託財産が金銭なら、“信託用口座”を新たに開設して移し、不動産の場合も“受託者(氏名)”といった名義で登記され、受託者個人の財産とはしっかり区別。たとえば委託者(親)の介護のために受託者(子)の権限で解約した定期預金などの金銭、家賃収入、不動産の売却益などは、すべて受益者(親)に給付・分配されます。

 委託者が元気なうちは、自分の財産の使い方を受託者に指示することもできますし、認知症になったら、あらかじめ定めた目的に沿って管理してもらい、受託者の責任と判断で積極的に運用してもらうこともできます」

 ただし注意が必要なのは、認知症を発症した後では家族信託の契約を結べないこと。

「契約の内容を家族間で自由に設計することができる一方で、契約締結時にはしっかりした判断能力が必要なのです。家族信託のメリットを十二分に利用するためにも、早めから検討し、導入しましょう。

 また受託者となる子が、契約内容を巡りきょうだい間でトラブルになることがあります。必要に応じて、受託者の管理状況を監督する●信託監督人をつけることもできます。いずれにしても関係する家族全員で情報を共有し、よく話し合って決めることが大切です」

■家族信託のポイント

【1】家族の財産管理を家族の中だけで行える。
【2】定めた目的に沿っていれば財産を積極的に運用できる。
【3】財産を託せる信頼できる家族(受託者)がいる人向け。
【4】認知症で判断能力が低下すると利用できない。

※女性セブン2017年11月2日号

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