国際情報

陳敏爾氏 習近平ゴーストライターからゴースト国家主席に?

院政を敷くには好都合か(写真:時事通信フォト)

 中国の指導部人事が決まる共産党大会で一躍脚光を浴びたのが、「ポスト習近平」として名前の上がった陳敏爾氏(57)だ。中国に詳しいジャーナリスト、富坂聰氏はこう言う。

「陳氏は重慶市のトップ(党委書記)ですが、今年7月に就任したばかり。これまで習近平氏の後継者は広東省トップの胡春華氏(54)だと目されてきたため、彗星のごとく現われた印象です。陳氏は長く地元の浙江省におり、習氏が2002年に浙江省のトップに就いた時から側近として一気に出世コースに乗った。異例の出世で、習氏がそれほど陳氏を信頼しているということ」

 なぜ習氏はそれほど陳氏を買っているのか。中国共産党を取材するジャーナリスト、相馬勝氏が解説する。

「陳氏は生まれも育ちも地方の浙江省で、党職員から地元機関紙『浙江日報』の社長になった。習氏が浙江省トップに就任したとき、縁もゆかりもない土地で味方のいなかった習氏をサポートしたのが陳氏でした。陳氏は『浙江日報』に習氏の連載コラム『之江新語』を持たせますが、習氏が話したことを文章にしたのは陳氏でした。しかも内容は浙江省の政界や経済に関することで、陳氏のほうが詳しい。言わば習氏のゴーストライターだったのです。

 それがきっかけで習氏の信頼を得て、陳氏の出世街道が始まった。陳氏以外にもこの時期に習氏を支えた共産党幹部が次々出世していったことから、連載タイトルをもじって『之江新軍』と呼ばれています」

 その勢いで“ポスト習”にまで上り詰めた陳氏だが、習氏のような権力を握るとは考えにくい。

「陳氏は中央政界での経歴が乏しく、人脈もない。習氏としては、バトンタッチ後に自分を追いやる危険性のある中央政界のエリートより、『軽い神輿』を後継者にしたいと考えているのではないか」(相馬氏)

 陳氏はゴーストライターからゴースト国家主席に成り上がるのか。

※週刊ポスト2017年11月3日号

関連記事

トピックス

水原一平氏のSNS周りでは1人の少女に注目が集まる(時事通信フォト)
水原一平氏とインフルエンサー少女 “副業のアンバサダー”が「ベンチ入り」「大谷翔平のホームランボールをゲット」の謎、SNS投稿は削除済
週刊ポスト
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
女性セブン
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン