秋から冬にかけて旬を迎える「しめじ」。本来、本しめじは広葉樹やアカマツの混交林に自生する野生種のことで、カサの下の柄の部分がとっくり状に膨らむのが特徴。しかし、しいたけのような栽培が難しく、天然ものの収穫量も非常に少ないことから、近年、一般に流通することはほぼないのが現状だ。
「大黒本しめじ」など、本しめじを栽培可能なものに改良したものも流通しているが、かなり高価なため“庶民の食材”とは言いがたい。
現在、スーパーなどで「しめじ」の名前で売られているもののほとんどは、ひらたけの一種である「しろたもぎたけ」の栽培種。ちなみに、「ぶなしめじ」はおがくずと栄養材を固めた菌床で栽培されたもので、本しめじとはまったく別の品種である。
しめじには食物繊維、カルシウムの吸収を助けるビタミンDが含まれる。また、必須アミノ酸の一種でたんぱく質の吸収を促進したり、糖質(炭水化物)の代謝を促すリジンも豊富。リジンは、疲労回復や体の組織の修復や成長を助けてくれる。きのこ類特有のうまみ成分で生活習慣病の予防にも役立つグアニル酸もたっぷりで、デトックスにぴったりだ。
家庭料理研究家の松田美智子さんはこう話す。
「“本”がつくと一気にプレミアムな食材になりますが、しめじは香りもあじわいもよく、とても扱いやすいきのこです。特に焼きしめじはおすすめ。余分な水分が抜けてうまみがギュッと凝縮され、シコシコとした歯ごたえがたまりません。煮物にせずとも、そのまま塩をふり、すだちやかぼすを搾っていただいても美味です」(松田さん)
【しめじの準備】
しめじをはじめ、ほとんどのきのこ類は、水洗いはしないのがお約束。
「石突きを除いてから、濡らして絞ったキッチンペーパーで汚れを落とし、手で小房に割る方がすっきりこぎれいに割れます。金属を当てると劣化しますので、野菜に包丁はなるべく使わない方がいいですね」(松田さん)
■『しめじの簡単マリネ』のレシピ
【1】しめじ3パックは石突きを除いて、細かくほぐす。玉ねぎ1/2個は繊維に沿って薄切りにし、セロリ1/2本も斜め薄切りにする。赤ピーマン1個は種とワタを除いて薄切りにする。
【2】フライパンににんにくのみじん切り小さじ0.5とオリーブ油大さじ2を合わせ、中火で香りが立つまで炒める。しめじを加えてさっと炒め、白ワイン大さじ3をかける。
【3】しめじがしんなりしたらフレンチマスタード大さじ1、白ワインビネガー大さじ1.5、塩小さじ0.5、白こしょう少量を加えて炒める。
【4】火を切ってフライパンの【3】をボウルに移し、玉ねぎを加える。粗熱が飛んだらセロリを加えて味をみる。しょうゆ小さじ1を加え合わせて器に盛る。赤ピーマンをあしらう。
撮影/鍋島徳恭
※女性セブン2017年11月16日号