未勝利や500万条件だと、次走の優先出走権を得ることもできるので、プランが立てやすくなります。このクラスは出走馬ラッシュなので、場合によっては2か月以上使えなくなってしまうことがある。時期にもよりますが、あまりに間隔が開きすぎると、健康状態も維持できなくなるので、放牧に出すしかないということになってしまう。
お金のことだけ考えれば、上の条件で6~8着でも相殺できそうですが、その馬の今後を考えると、「6着でもいい」とはいえない。上位を狙う意識がないと、クラスが上がったときに、勝負にならない。常に高いクオリティーを考えておかないといけません。
角居厩舎は、今年(10月22日終了現在)地方中央合わせて出走回数が287。47勝2着43回で勝率0.164、連対率0.312。5着以内に入ったのは計170回で、6割近い「掲示板率」となっています。リーディング争いは1着の数で競いますが、上位厩舎はこの「掲示板率」が5割を超えているのではないかと思います。
上位に食い込めば次レースへの様々な展望が開けます。たとえば先の10月14日東京の府中牝馬S。トーセンビクトリーは5着、勝ったクロコスミアとはコンマ3秒差でした。馬券を買ってくださったファンには申し訳ありませんが、2~4着の3頭がGI馬ですから、よく頑張った。直線も先頭に立つシーンがあり、私も思わず声を上げていました。後ろから行って差し届かずの5着とは違って、次走・エリザベス女王杯へのいい物差しになります。
●すみい・かつひこ/1964年石川県生まれ。2000年に調教師免許取得、2001年に開業。以後16年で中央GI勝利数24は歴代3位、現役では2位。(2017年10月22日終了現在)今年は13週連続勝利の日本記録を達成した。ヴィクトワールピサでドバイワールドカップ、シーザリオでアメリカンオークスを勝つなど海外でも活躍。引退馬のセカンドキャリア支援、障害者乗馬などにも尽力している。引退した管理馬はほかにカネヒキリ、ウオッカなど。『競馬感性の法則』(小学館新書)が発売中。
※週刊ポスト2017年11月10日号