しいたけが日本で栽培され始めたのは江戸時代。当時はシイやクヌギなど広葉樹の原木に傷をつけ、そこに胞子が自然につくのを待つという気の長い栽培法だった。今では、菌床栽培と原木栽培の人工栽培が確立され、年中安定供給されている。
本来の旬は春と秋の2回で、しいたけのうまみ成分であるグアニル酸も濃厚になり、とくに秋は味も香りもよい。
低カロリーでミネラル、食物繊維を豊富に含む。また、抗がん作用があるといわれるレンチナンを含む。特筆すべきはエルゴステリンという成分で、ビタミンDと同様の働きでカルシウムの吸収を助ける働きがある。
ちなみに干ししいたけは、生しいたけを天日または火力、電機などで乾燥させたもので、乾物として扱われる。乾燥することで保存性が高まるだけでなく、しいたけの香り成分レンチオニンやグアニル酸などの栄養分も濃縮される。煮物などに使うといいだしが出る。
家庭料理研究家の松田美智子さんは、しいたけについてこう話す。
「しいたけはもちろん、きのこ類は水で洗うと風味が落ち、劣化しやすくなります。店頭で売っているものは泥だらけということはまずありません。傘の汚れを軽くたたき落とし、ほかの部分はキッチンペーパーでそっと拭き取る程度で充分です。くれぐれも石突きはお捨てにならないように。個人的には、風味も食感も最高で、いちばん好きな部分といっても過言ではありません」
【しいたけの準備】
人間と同様、しいたけも紫外線にあたるとビタミンDが増加する。そこで、調理する前に傘の裏を上にしてざるなどに並べ、風通しのよいところに数十分吊しておくとよい。干ししいたけも、水につけて戻す前にちょっと日光浴を。
しいたけの汚れは水洗いではなく、たたいて落としたりキッチンペーパーで拭き取りを。金物を使わずに調理をすると風味が残り味もしみやすいので、包丁を使わずに手で裂くのがおすすめだ。
■『しいたけの肉詰め』のレシピ
【1】しいたけ8枚は【準備】を参照して汚れを落とす。石突きは根元を押さえて傘から外し、みじん切りにしておく。ピーマン1個は種、ワタ、芯をきれいに除いてみじん切りにする。
【2】ボウルに豚ひき肉100g、ピーマンを入れ、にんにくのみじん切り小さじ1/2と石突きのみじん切りも合わせる。塩小さじ1/2、白こしょう少量を加えてよく混ぜる。
【3】しいたけの傘の内側に薄力粉適量を茶こしを通してふり、【2】をバターナイフ等を使って傘の内側に空気を抜くようにしながら詰める。再度、上から茶こしを通して薄力粉をふる。
【4】中温に熱した油適量で約5分揚げる。半分に切って器に盛りつけ、好みで塩、レモンを搾っていただく。
撮影/鍋島徳恭
※女性セブン2017年11月23日号