また、シリコンは人肌と似た触感の肌を作れるが、比重が人体より重い。生命を持たない物体だけに、移動やメンテナンスの際は数字上の重量以上の重みを感じるとされる。

「そこで20kg台までボディを軽量化しました。日本製の同サイズの製品(30kg台)より、取り回しが楽になるよう設計しています」

 工場にも立ち入らせてもらった。まず出迎えるのは大量のボディの金型だ。さらに安価モデルの手や足(着脱式)がバラバラと棚に積まれている。いっぽう、一体成型型の高級モデルはヘッド部だけが後付けなので、別の部屋には首のない大量の裸体がぶらぶらと吊り下げられていた。人形とはいえかなり怖い光景だ。

 法的な規制がある日本と異なり、中国では性器付近の造形もリアルに作れる。だが、「違い」はこうした点だけではない。

◆オリエント工業を圧倒

「話を聞く限り、EX社の規模は国内各社とは桁違いです。日本ではオリエント工業でも社員数は数十人程度。市場全体も、ファンの高齢化や若者層の貧困化で非常に苦しい状況です」

 国内中堅メーカーのLEVEL-D代表・菅原史嵩氏(55)は話す。 

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