ただし早めの決断が要ります。内が混んでるから外に、などと悠長に構える暇はない。M.デムーロなどは、なにがなんでも外に出すように見えるときがある。それが奏功しそうに思えるのは、外側からの豪快な差し切りの印象が強いからでしょうか。
キセキが勝った菊花賞では、自然な流れで外につけ、稀に見る泥濘戦を制してくれました。「自信があった」というレース後のコメントも、外から差し切るパターンにはまった彼なりの手応えなのでしょう。
もちろん外側のデメリットもある。目安となるラチがないから真っ直ぐ走れず、ぶれていく心配です。斜行して後ろの馬の進路を阻んでしまう。東京競馬場のように直線が長くて上り坂がある場合は、よれて進路妨害となる懸念は決して小さくない。
内ラチから離れたがらない馬もいる。調教のクセです。ラチ沿いで調教を続けると、そうなってくる。栗東では内ラチ沿いは遅い調教で外ラチが速い調教。昔、坂路がないときに、内ラチ沿いで滑らかに走れる馬が、外ラチに出すと、追い切りモードにはいって引っかかることがあった。右回りの調教だと、右ラチ好きになる傾向がありました。
内側のメリットは、なんといっても最短距離を走れること。そしてラチのおかげで走りがよれない。外を行く馬と比べると、どこか堅実なイメージがありますね。結論としては、内外それほど差はない。外は外なりにリスクがあるということです。そしてそれは調教師が指示することではなく、ジョッキーがレースの流れの中で判断することです。