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コラム

2017.11.25 16:00  マネーポストWEB

私が出会った4人のネットワークビジネス勧誘者の言葉

いつの間にかネットワークビジネスへの勧誘が始まっている……


「人はメリットがない限りは声をかけてこない」――それなりに人生長く生きていれば感じることはあるだろう。「懐かしい人から連絡が来た!」と思ったのも束の間。実際に会ってみたらいわゆる“ネットワークビジネス”の勧誘を受けた……。こうした経験を持つ人も案外いるのでは。これまでに知り合い4人から勧誘を受けたというネットニュース編集者の中川淳一郎氏が、その時の体験を振り返る。

 * * *
 私は大学では商学部にいたのですが、某ネットワークビジネスを展開するX社を大絶賛する同級生がいました。彼は卒論に「ネットワークビジネスの可能性」みたいなことを書きたい! と言っていたので、話を聞いていたのですがなるほど、こりゃ、夢に溢れているわな、と思ったものです。

 だから内容はよく分からないまでも「上流にいるエラい人が知り合いの会員に素晴らしい商品を売り、その人が再びネットワークを使って別の知り合い人に売る。いっぱい売ればエラくなれて、しかも皆が良い製品を安く買うことができる」という解釈をしていました。

 しかし、そんなウマ過ぎる話ではない……というのはここでは言及しませんが、私自身はネットワークビジネスに対しては今となっては「人間関係を毀損」する行為であると捉えています。

【1人目:美容系フリーライター・A】

 さて、私が出会った勧誘者の一人目はとある美容系のフリーライターでした。26歳の頃、私は企業のPR活動を代行する仕事をしていたのですが、ある外資系アパレルブランドの日本上陸の記者会見を手伝った際、そのライター・A氏(女性)が取材に来てくれました。彼女はファッションやコスメといったテーマを中心に書くライターです。この記者会見の際は、オープニングパーティも同時に開催したのですが、ここに私の担当する別の企業の低アルコール飲料をタイアップで提供してもらいました。

 A氏とそのアパレルブランドの魅力などを語っていたのですが、彼女はその飲料を飲んで「あら、これ、おいしいわね」と言います。この場においては、メインのクライアントはアパレルブランドなんですが、飲料のPRもやっていただけに「もしお気に入りのようでしたら、Aさんの事務所にケースでお送りしますよ。是非とも雑誌などで紹介してください」と依頼をします。すると彼女は「むしろ、私の事務所に来て、ゆっくり説明してくださるかしら?」と言います。

 じっくりと商品の歴史やら特徴を説明するのであれば、その方が飲料をメディアで取り上げてくれるかも……、などという下心もあったため、彼女の事務所を訪れることにしました。しかし、後日ケースを抱えて彼女の事務所を訪れ、商品説明をすると妙に気がない。

「はい、はい。なるほど。はいはい、大体分かりました。これで何か企画を作れるか考えてみますね。編集部にも何本か渡しておきますので」

 こう彼女は言ったが、続いて「あっ、そういえば……。あなた、若いから色々とニキビが出たり、スキンケア必要なんじゃないの?」と言われました。私は「う~ん、あんまり脂っぽくない皮膚なんで、ニキビってほとんど出ないんですよね。何らかのケアで使っているのは98円のリップクリームぐらいですよ」と言いました。すると彼女は「ダメよ、それじゃ!」と言い、「これ、これ、あなた、使ってみて!」とX社のスキンケア用のクリームを取り出します。

 そして、私の手を取り軽く握ってから手の甲に塗り始めました。「おっ、女の人から手を握ってもらえた……」と当時まったく女性からモテることのなかった私は、少しの嬉しさを覚えました。

「これ、本当に効くのよ! 私、このメーカーと懇意にして、いつも色々なものを買っているの。あなたにも売ってあげるけどどう? こういったクリームだけでなく、電化製品からサプリメントまでなんでもあるけど」

 当時私は社会人でありながら大学の寮に住む知り合いの部屋に居候をしており、極力モノは増やしたくありませんでした。実際問題として身体に不調もないし、そもそも仕事が忙しすぎて風呂に入るのも数日に1回の有様で、部屋にもいないことも多いため、モノが増えても使わないと考えたのです。

 そこで「いやぁ~、オレ、あんまりモノいらないんですよね~。せいぜい買うものって『ガリガリ君』とかのアイスぐらいなんですよ……」と言いました。その後も若いうちの体のケアが非常に大事だとか、良い製品を使わないと人生が暗転する、など色々言われたのですが、途中から当初の目的を思い出しました。

「なんでこのおばさんは突然露天商のようなことをやり出したんだ? オレはこのアルコール飲料の売り込みに来たのに、なんでオレが逆に売り込みに遭ってるんだよ……」

 当初の目的はクライアントの製品を売るためなのに、それとは関係のない商品を売り込まれている自分が仕事人として情けないと思い、「私は仕事中なので、ちょっと今ここで買うわけにはいきません」と伝えました。

 すると彼女は途端にそっけなくなり「あっ、そう。まっ、私もこの飲料は紹介しないんで。じゃあ、さようなら!」と言い、私は部屋から出ました。

 いったいこれはなんだったのか? そう思ったところで、周囲でもこういった体験をする人がチラホラ出てきてこれが「ネットワークビジネス」というヤツの勧誘であることを理解したのでした。以後、3回同じような体験をしましたが、毎回甘言を弄してから、拒否すると素っ気ない態度になる、というのが続きました。ちなみに全員女性でした。

【2人目:アパートの隣の部屋の住人・B】

 あるアパートに住んでいた時のこと。そこは同じ階に3つの部屋があったのですが、その中の住人の一人がとにかく神経質な人物で、部屋のカギを閉めたかどうかドアノブを勢いよく何十回も毎朝回して確認する人物でした。そういったこともあり、同じ階に住んでいるBさんと、いつしか「あの音うるさいですよね……」と言い合う関係に。そして、ある日……。

B:「とにかくあの音うるさいですよね……。そういえば、こうして同じ問題を共有しているだけに、ご近所さんのよしみで、私が買うことのできるすごい製品をあなたにも売ってもいいですよ。私の部屋の前にあるこの段ボール、いつも見るでしょ? これ、本当にいいからこんなにたくさんあって、私はお友達にも分けているの。あなたもどう?」

私:「いやぁ、もうウチも色々ありましてね」

B:「あっ、そっ。じゃ、いいわ(ガチャン、とドアを閉める)」

*以後、一切挨拶もなくなる。

【3人目:昔からの知り合い・C】

 彼女は東京から一旦地方都市に結婚で引っ越したものの、その土地は仕事が少ないために東京に戻ってくる。ある日、フリーライターをしている私のところに「私、東京に帰ってきたので久しぶりに会いましょうよ!」とお誘いが。こちらも会えるのは嬉しかったため、アポを取る。

C:「あなた、フリーライターって言ってるけど、そんなに仕事ないわよね? でね、すごくいい仕事があるのよ(とパンフレットを出す)。こういった商品をね、売るの。そうするとね、けっこうお金持ちになれるの。あなた、そんなに仕事も売れてなさそうだし、こういった副業やった方がいいわよ」

 これについては「オレは結構仕事あるので大丈夫です……」と頑なに固辞したらすぐさまお会計をすることになり、以後会っていない。

【4人目:1回だけ勉強会で会った人・D】

 私が講師をする広報関連の勉強会で出会った受講生・D氏が「先生の講座に感銘を受けました! また是非お話を伺いたいので、時間作ってください!」と言われ、後日会ったらこれまでの人と同じような口説かれ方をしました。同様に拒否しましたが、後日、その仲間達が集まる「楽しいパーティ」に誘われ本格的に数の力で勧誘されそうになり、慌てて逃げました。以後会っていない。

 というわけで、私としても「あちらからおいしい話を持ってくる場合、おいしい話はない」を肝に銘じております。「甘い口調で誘ってくる」→「豹変する冷たい態度」というものはもう経験したくないですからね。余計なカネ払いたくもないし、自分の友人を失うこともしたくないですし。

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