続く〈見守りが必要〉エリアに進むと、「また鍋を焦がしちゃった」などのマス目が現われ、〈日常生活に手助けが必要〉エリアでは「車にこすり傷がたくさんある」、〈常に介護が必要〉エリアだと「誰かわからないけど、親切な人だ」という具合に、認知症の進行度ごとの症状がわかるようになっている。
すごろくには、「野菜の名前を10個言ってみよう」「右手で2拍子、左手で3拍子」といった進行度に応じた「脳トレ」をするマスもある。
「通常のすごろくでしたら、早くゴールにたどり着くことを競いますが、このすごろくは遅く進んだ方が得る情報が多くなります」(前出・担当者)
ゴールすることが目的ではないので、終わった後に飛ばしたマスを読み返したり、遊ぶメンバーを変えて、認知症の症状を共有することを水戸市は推奨している。
このすごろくは、前述した認知症介護の支援やサービスを解説した冊子『認知症123』とともに水戸市ホームページからダウンロードできる。
「『自分はこれに当てはまる』と気づき、『地域包括支援センターに相談してみようか』という動機になったり、『こういう介護サービスがあるから大丈夫』と安心したりする材料になればいいと思っています」(同前)
黄門さまのような矍鑠(かくしゃく)とした老人になれるかもしれない。
※週刊ポスト2017年12月8日号