11月27日には、北海道登別市の国道で、別の車と追い越し合いを繰り広げていた車が信号無視で交差点に突っ込み、通行中の専門学校生が死亡する痛ましい事故も起きている。
◆「こんなバカげた話がありますか」
こうした状況を悲痛な想いで見つめているのが、冒頭の中江さんだ。2012年4月23日午前8時、亀岡市で集団登校中の児童と保護者の列に軽自動車が激突。前述の通り、中江さんの長女・幸姫さんを含む3人が亡くなった。
「事故当時、幸姫のお腹には赤ちゃんがいた。この世に生まれることなく、幸姫と一緒に天国に旅立ちました。当たり前の日常が、一瞬で崩れ去りました」(中江さん)
ハンドルを握っていた少年A(当時18才)は居眠り運転のうえ無免許。しかし危険運転致死傷罪には問えず、刑の軽い過失運転致死傷罪での立件となった。
「少年は無免許運転を日常的に繰り返していましたが、それがかえって、裁判では『運転技術がある』と判断されました。こんなバカげた話がありますか。無免許運転が危険運転にならないのはおかしいと裁判で何度も訴えましたが、司法には聞き入れてもらえませんでした」(中江さん)
Aは懲役5~8年の不定期刑で服役中だが、同乗していた少年BとC(ともに当時18才)、無免許と知りながらAに車を貸した少年D(当時18才)は、道路交通法違反幇助の容疑で逮捕され、少年院での保護処分相当として家庭裁判所に送致。3人とも執行猶予が付き、現在は実家こそ出たものの事故現場の近くで生活している。
近所であるがゆえに、中江さんの耳には聞きたくない情報が入ってくる。
「CとDは昨年1月まで近所の工務店で働いており、“被害者に慰謝料を払うために働かなあかん”と職場では話していたそうです。しかし彼らから慰謝料など一銭も受け取っていません。なにしろ謝罪にさえ来ないのですから。Cは事故後、裁判中でさえフラフラ遊び歩いていた。近所の人に咎められると“おれは車に乗ってただけやから関係ないやん”と言ったらしい。あ然とする言葉です。
裁判では、少年の親たちも“すいません”と頭を下げていましたが、判決が出たら知らんぷりです。彼らの実家は私の家からも近く、時々親とすれ違うこともありますが、目も合わせません」(中江さん)
この事故で次女(当時7才)を失った小谷真樹さん(35才)もこう語る。
「少年の親たちは、裁判中は“これからはしっかり子供たちの監督義務を果たしていきます”と言っていたのに、その義務も全く果たしていない。仏壇に手を合わせることさえしないのです。心底怒りを感じます」
※女性セブン2017年12月21日号