福祉住環境コーディネーターの資格を持つ生島ヒロシ
「入院してから、“まだらボケ”が進んだように見えます。ただ、それよりショックなのは看護師の口調。“そんなにダダこねちゃダメでちゅよ~”とか“ご飯、全部食べられたのねぇ。えらいねぇ~”とか赤ん坊扱い。
私には厳格だった父親です。彼女たちには、もう少し人生の先輩としての敬意を払ってもらいたい。ただ、私は病院にいない時間のほうが多いので、文句を言って父が看護師にぞんざいに扱われるのも困る。複雑な気持ちで見舞いに通っています。
先日、主治医の先生から“たまに看護師を怒鳴りつけていることがある”という話を聞きましたが、“まだらボケ”なので、しっかりした状態の時に耳にした看護師の言葉に腹を立てたのではないか。その情景を思い浮かべると、また悲しくて……」
福祉住環境コーディネーターの資格を持つなど介護現場に詳しいフリーアナウンサーの生島ヒロシ氏(66)は、そうした問題で家族がストレスを溜め込んでしまう構造があると指摘する。
「介護現場でも、食事の際に介護士が『ハイ、あ~んして』と声をかけるといった光景が見られます。ただ、それが嫌でも、ケアする側とされる側の力関係では前者が圧倒的に優位。家族も怒るに怒れない。結果、ケアする側が気付けず、問題が温存されてしまう」
◆看護師が“親”で患者は“子”?
都内の病院に勤務する40代の看護師は、「たしかに、とくに患者さんの認知レベルが下がると、敬語を使わなくなっていく気がする」と自らを顧みる。