もう1つ、広瀬さんを語る上で忘れてはいけないのは、ティーンとは思えない大胆さ。16歳時に出演した初主演ドラマでキスシーンを演じたほか、ドラマ『怪盗 山猫』(日本テレビ系)では天才ハッカー役で絶叫などの激しい演技を見せて視聴者を驚かせました。今月4日にも、『anone』の役作りで髪をバッサリ切ってベリーショートになった姿を公開するなど、大胆な姿勢が目につくのです。
また、バラエティー番組への出演時には、その大胆さが裏目に出ることも。本来、アウェイであるはずのバラエティー番組でも、広瀬さんが物おじすることはありません。奔放な発言で笑いを取る一方、先輩タレントやスタッフに対する発言で炎上したケースも見られましたが、女優業が順調である以上、大きな問題とはならないでしょう。
もともと女優の醸し出す大胆さは、同時にあやうさを感じさせ、そのまま魅力に直結するもの。だからこそ広瀬さんは、「大物制作者たちの心をつかみ、大作に出ることで国民たちの心もつかんでいく」という成功パターンをつかんでいるのでしょう。同時にこれは、かつて昭和の名女優に多かったパターンでもあり、10代にしてその系譜を継いでいる広瀬さんがいかに大器であるかが分かります。
◆アンチの多さこそ国民的女優候補の証
昨年から今年にかけてネットを中心に、広瀬さんをめぐる“アンチ”のコメントも目立ちましたが、それこそが国民的女優候補の証。まだ10代にも関わらず多くのアンチを集めるのは、「いかに影響力が強いか」「その数十倍、数百倍のファンがいるか」であり、やはり国民的女優の位置に最も近い存在と言えるのです。
生まれ持った才能が、映画・ドラマ業界の大物制作者たちによって磨きがかかっているのですから、抜てきが続くのは必然。今後もアンチからの「ゴリ押し」という声は続くでしょうが、広瀬さんはそんな声をはねのける圧倒的な演技を見せてくれるでしょう。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本前後のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』『TBSレビュー』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。