「ドラマ開始当初はF3といわれる50~60代が圧倒的に多かった。中高年層に特化していたんです。でも、そこから“お母さんが見ているから”と子供が見てくれるようになったり、話題にしていただくことで若い層にも広がっていって、今では30~40代にも拡大しています」(内山さん)
事件解決までのプロセス、変化する主人公の心情…それらと並立する見どころが「組織の対立」だ。コラムニストの亀和田武さんは『相棒』の魅力をこう伝える。
「昔の刑事ドラマは警察が一丸となって、巨大な闇組織や凶悪な殺人事件と闘いました。『相棒』はそういった要素を織り込みつつ、組織内部で繰り広げられる“公安部VS刑事部”や“警視庁VS警察庁”といった対立構造、権力者の暗躍を描いたことで緊張感が生まれ、おもしろ味が増しています。組織内の圧力にひとりで立ち向かう杉下右京のような主人公は、かつての刑事ドラマにいませんでした」
大学病院という古きシステムにメスを入れる大門未知子、刑事第一主義の捜査現場で臆することなく独自の見解を主張する榊マリコ…それは時に組織内で軋轢、対立を生むが、それが“裏テーマ”になっている。
“いったいどこまでが本当なの!?”と思わずにいられない権力闘争や、ドロドロとした人間関係にハマってしまうのだ。まだまだ書ききれないヒットの理由。それはそのままドラマの魅力ということでもある。
※女性セブン2017年12月21日号