だが、絶対的権力者の特徴として、両雄は並び立たない。二階氏も彼らに重用される一方で、かつてともに自民党を離党し、新進党、自由党時代に側近として仕えた小沢一郎氏や、自民党入党まで行動を共にした小池百合子・東京都知事とは、袂を分かって以来、すっかり疎遠になっている。
小沢氏は自由党分裂の際、「二階だけは最後までついてくる」と全幅の信頼を寄せていたが、政治の大きな節目では、政治的方向性を180度変える“非情な決断”を示すことができるのも、二階氏の特徴である。今、二階氏は小沢氏や小池氏にどのような視線を向けているのだろうか。
「小池さんとは昔は同じ党でしたが、今回の選挙はそんなことは全く気にせずにやりました。今後も、“我が道を行く”でやってくれればいいんじゃないでしょうか。小沢先生は信念の強い政治家だと思うが、近年は私とは全く別世界を歩んでいる。まぁ、“ご健闘を祈る”としかいえません」
きっと思うところは多々あるのだろうが、慎重に言葉を選ぶ。軽口を叩かず、言葉数が少ない。記者泣かせの語り口もまた二階氏の特徴だ。最後にこんな質問を投げた。
──どんな人間が嫌いか。
「嘘つき、約束を守らない、人の面倒を見ない。そんな人は大嫌いですね。まぁ、政治の世界に一番多いんだけど」
かすかな頬笑みを含んだこの言葉が、二階氏がその日見せた唯一の“人間味”ある答えだった。
※週刊ポスト2017年12月22日号