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2017.12.15 17:00  マネーポストWEB

オーナー企業株 ワンマン批判浴びても理屈を超えた爆発力ある理由

日本電産の株価は5年で442%もの値上がり(永守重信・会長兼社長。写真:共同通信社)


 アベノミクス相場がスタートした2012年10月以降、日経平均株価は5年間で150%上昇しているが、それよりも好調に推移しているのが日本版「創業者株価指数」である。同期間の値上がり率は日経平均を大きく凌駕し、実に230%(3.3倍)となっている。

 この指数を算出しているのは、米国の投資運用会社「ホライゾン・キネティクス」社で、指数の構成銘柄は、ソフトバンクや日本電産、ファーストリテイリング(ユニクロ)といった大型株から、ジャスダック上場の新興株まで幅広いが、いずれも創業者が経営する「オーナー企業」という共通点を持つ。

 これら日本のオーナー企業の株価が、日経平均やTOPIX(東証株価指数)を上回るパフォーマンスを出していることで注目が集まっているが、その一方で「ワンマン経営」と評されがちな日本のオーナー企業は、特に外国人投資家からすれば「経営が不透明」という批判がつきまとう。

 近年の例では、西武グループを率いた堤義明氏が証券取引法違反などで退くと、筆頭株主となった外資ファンドが敵対的買収を仕掛け、経営陣と対立したケースが記憶に新しい(2013年)。外資系ファンドと日本の創業者企業の“相性”は、決して良いとは思えない。オーナー企業への投資リスクについて、ファイナンシャルリサーチ代表の深野康彦氏が解説する。

「カリスマが退いた時のリバウンドが大きく、不慮の事故やお家騒動も無視できない。実際の業績より過大な騰落が起きやすいため、投資判断が難しい」

 だが、そうしたリスクを踏まえてなお、創業者企業株に「強み」があるということなのだろう。

 ファーストリテイリングを率いる柳井正・会長兼社長は2002年に経営の一線から退くも2005年に復帰し、2013年には売上高1兆円を達成した。1万円以下だった復帰時の株価は、現在は4万円台で推移している。

 先頃、仏自動車会社との合弁会社設立を発表するなど、EV(電気自動車)分野に積極進出する日本電産の永守重信・会長兼社長は、自らスカウトしてきた後継候補の副社長を降格(3か月後に退社)させた人事(2015年)がワンマンだと批判を浴びたものの、株価はそれから約50%上昇した。

「創業者は自社株を大量保有しているため、株価上昇は自らの資産増につながる。“会社は自分のもの”という意識がプラスに働いた時の業績アップは、理屈を超えた爆発力がある。上昇基調は、リスクよりもリターンが上回るという経験則に基づく判断があるのだと思います」(前出・深野氏)

 世界の時価総額トップ5を占めるアップル、アルファベット(グーグルの持ち株会社)、マイクロソフト、アマゾン、フェイスブックの米ITビッグ5は、いずれも「オーナー企業」だ。

 景気が下降線を描いた時代にはマイナスイメージが強くなりがちだった「ワンマン経営」こそ、日本経済の原動力──そのことにいち早く気づいたのが海外機関投資家だったことも、「投資の奥深さ」を感じさせる。

※週刊ポスト2017年12月22日号

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