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2017.12.18 16:00  マネーポストWEB

消費増税凍結を主張する首相ブレーン「増税は根拠薄弱で不当」

増税にひた走る政府・自民党

 自民党が先の衆議院選挙に勝利すると、この機を逃すなと財務省はマスコミを動かして増税キャンペーンを張り、いまや政府・自民党は“選挙は当面ないから国民の顔色は気にしなくていい”とばかりに増税にひた走っている。

 著名な経済学者たちもそれを後押ししている。財務省財政制度等審議会の前会長、吉川洋・東大名誉教授と山口廣秀・元日銀副総裁は『低迷する消費』と題するレポートを発表し、“消費低迷の理由は将来不安。不安を払拭するには税・社会保障のプランの明示が必要”と説き、増税論者のバイブルとなっている。

 そんな中、内閣官房参与を務める首相の経済ブレーン、藤井聡・京都大学大学院教授が同氏の研究室の実験をもとに「消費税率10%への引き上げは国を滅ぼす」と声をあげたのだ。

 藤井氏の研究室は、全国の男女100人ずつ、計200人を対象に実験を行なった。被験者に増税後の消費税率をさまざまに変えながら、欲しい商品を「絶対に買う」から「絶対に買わない」まで9段階に分けて回答させ、税率の「数字」の印象によって購買意欲がどう変化するかを調べたのだ。

 実験の結果、予想通り、消費税率が10%になれば増税に対する『心理的負担感』が格段に大きくなり、前回の8%増税時の1.5倍の消費縮小効果をもたらす。とくに女性に限れば、その『心理的負担感』は2~3倍程度にまで拡大し、激しく『買い控える』ことが示されたというのだ。そして、こう提言した。

〈「10%」増税は、巨大な消費低減効果を持つ。とりわけ女性に対する影響は極めて甚大〉

 内閣官房参与という“総理の政策顧問”がそんなムードに水を浴びせるように増税反対を唱えたのだから、藤井氏の発言は一歩間違えば“官邸不一致”に見える。経産省の中堅官僚が語る。

「今回の増税公約を振り付けたのは財務省だ。これまで2回、安倍総理に消費税増税を延期されて煮え湯を飲まされた財務省は、モリカケ疑惑で内閣支持率が低下したのをチャンスと見て、“予定通り消費税を10%にすれば、その税収を教育無償化に回し、選挙を有利にすることができます”と総理に持ちかけて増税を飲ませた。

 選挙には勝ったものの、官邸内には増税で景気を冷やすのではないかという懸念が根強い。そこに財務省を牽制するような藤井参与の増税反対論が出たのは、官邸との“あうんの呼吸”があったのではないか。政府の方針に背く藤井氏が叱責されたという話もない」

 叱責どころか、首相動静によると、藤井氏は総選挙から3日後の10月25日に官邸で安倍首相と会談している。実験結果をもとに「増税凍結」を説いたとみるのが自然だろう。どんな話をしたのか。

「守秘義務があるので内容はいえませんが、少なくとも成長のためには延期が望ましいとお考えではないかと想像します。選挙中のご発言を踏まえても総理も官邸内も現段階で“絶対に増税する”と確定しているわけではないと私は思う」

 藤井氏はそう語ったうえで、「しかし、著名な経済学者の方々が、“消費を回復するために増税すべき”という恐ろしく倒錯した論理を示唆されていることには、これからも根拠薄弱で不当な主張だと指弾し続けていく」と、増税批判の矛を収めるつもりはない。

「税は国家なり」といわれる。国民のどんな層にどれだけの負担を求め、どのように再配分するかの組み立てでその国の政治の在り方が決まるからだ。

 安倍首相は国民生活に直結する消費税について、3年前には「増税延期」を公約し、今度は「増税実施」を公約しながら、政権内で増税派と反増税派を天秤にかけ、“どっちを選んだ方が有利か”と模様眺めをしているように見える。

※週刊ポスト2017年12月22日号

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