「強要未遂罪」は非親告罪で被害届がなくても検察は起訴できるが、「示談で被害届が取り下げられると情状を考慮して検察が容疑者を不起訴にするのはよくあること」(元検事の落合洋司弁護士)という。
二階氏側はなぜ、自分を脅した王氏がすぐに“赦免”されるような対応を取ったのか。約40箱の段ボールの中に早く取り戻したい重要な資料が含まれていたとすれば、どんな資料だったのか。あるいは、二階氏側は事件が大きくなった場合の日中関係に与える影響を心配したのかもしれない。
二階氏は自民党きっての親中国派政治家として知られ、現政権の日中関係の最重要キーマンだ。
2017年5月には安倍首相の親書を携えて訪中し、習近平・国家主席と会談、冷え込んでいた日中関係の改善に大きな役割を果たした。この年末にも、12月24~29日の日程で与党訪問団を率いて訪中を予定しており、習氏とも再び面会する方向で調整が進められている。
そんなタイミングで“大物中国人”とのトラブルが降って湧いたのだから、恐るべき偶然である。
過去、日中間では、故・橋本龍太郎元首相の“中国人愛人”問題(*)をはじめ、親中派とみられた政治家たちほど、中国絡みのスキャンダルに見舞われてきた歴史がある。
【*1996年、当時の首相・橋本龍太郎氏と中国人女性との親密な関係が発覚。女性が情報工作員だったことから、“ハニートラップ”の疑いが浮上した】