「女性皇族が一般のかたと結婚しても皇籍を離れず、相手がいわば婿養子となり、女性皇族が当主となる宮家のことをいいます。そうすれば、結婚後も皇族として活動していただけます。女性皇族の中でも特に3人の内親王殿下はご誕生の時から国民は成長を見守ってきましたから、受け入れるのに抵抗は少ないと思います。ただ、結婚すれば皇室を離れる前提でこれまで育ってこられたから、“残ってください”と急に変更するのは問題です。皇室の制度は長期的な視点で整備すべきです」
2011年11月には、当時の羽毛田真吾宮内庁長官が、野田佳彦首相に検討を要請し議論がスタート。翌2012年10月には皇室典範改正へ向けた論点整理が発表された。
だが、それから2か月後、2度目の首相就任を果たした安倍晋三首相が「女性宮家を認めてしまえば、将来女系天皇が誕生する可能性が高い」と表明し、一切を白紙撤回した。それから、議論は停滞したままだ。
皇族の減少と同じく、長らく皇室を取り巻いてきたのが「皇統の問題」だった。皇室典範の第1条には、次のように規定されている。
《皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する》
これまで125代いる日本の天皇は、すべて父方から天皇の血を引いた「男系」が即位してきた。女性天皇は10代8名存在するが、いずれも「男系の女性天皇」。安倍首相は、女性宮家創設が将来的に女系天皇誕生の呼び水となり、「万世一系」の歴史を途絶えさせてしまうと考えているのだ。
「かつては側室という“安全装置”もありましたから、男系で皇位を継承してこられました。しかし、現代の一夫一婦制で、なおかつ嫡出の男系男子に限る制度ですと、継承者がいなくなるのは時間の問題でしょう」(前出・山下氏)
このままいけば、皇太子さまに続いて、秋篠宮さま、悠仁さまという順番で皇位が継承されていくことになる。
「悠仁さまはまだ11才。ですが、悠長なことは言っていられません。口にすることは憚られますが、“万が一”が起こらないとは言い切れない。実際、悠仁さまが乗った車が高速道路上で接触事故を起こしたこともありましたから」(宮内庁関係者)
私たちの生活と密接に絡みあいながら、常に皇室はそこに存在していた。だが今、皇室はその存亡の危機にある。
撮影/雑誌協会代表取材
※女性セブン2018年1月4・11日号