個人資産60億ドル(約6720億円)で、フォーブスの長者番付中国人富豪16位(2016年)、中国のネット通販最大手・京東商城の最高経営責任者(CEO)、劉強東氏が河北省の過疎の村の名誉村長に就任したことが分かった。
劉氏は江蘇省の貧しい村の出身で、大学時代から「村長になる」ことが夢だった。その夢がかなった現在、劉氏の次の目標は「村人全員が豚肉を食べられるようにしたい」「今後5年以内に年収10倍にして貧困脱出」だという。
劉氏は1974年2月生まれの43歳。党幹部を養成する北京の名門、中国人民大学卒業後、ビジネスの世界に飛び込み、1998年に現在の京東商城の前身、京東公司を創設。その後、紆余曲折があったが、2009年には現在のネット通販事業に参入し、中国の長者番付にも登場したほか、米フォーチュン誌の「世界で最も偉大な指導者50人」にランクインするほどだった。
中国各紙の報道によると、そのようなビジネス界の寵児ともいえる劉氏が名誉村長に就任したのは北京市から南西300kmで、山西省に隣接する山あいの河北省阜北県平石頭村。人口はわずか655人。主要な農産物はリンゴとキノコ、クルミで農民1人当たりの平均年収は3500元(約6万円)。
中国では年間収入1000元以下は貧困戸だが、平石頭村の133人が貧困戸に属するという。2016年5月に中国国家統計局が発表したところによると、中国の全国都市部の平均賃金は6万2029元(約108万5000円)なので、平石頭村の平均年収は都市部のそれの18分の1となる。
劉氏が平石頭村を知ったのは、知り合いの河北省政府関係者から、今年9月中旬の阜平県の貧困脱出プロジェクトの会議に出席するよう誘われたことからだ。