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2017.12.30 16:00  マネーポストWEB

借りたくても借りられない、「銀行カードローン難民」続出か

銀行のカードローンにも総量規制の波が(写真:アフロ)

 消費者金融や銀行のカードローンの借入額がかさんでいる人にとって、この冬の寒さは、例年以上にこたえるかもしれない。これまで貸金業者にのみ適用されていた「総量規制」を、自主ルールとして導入する銀行が増えているからだ。

 総量規制とは、貸金業者が個人にお金を融資する際、その人の年収の3分の1を超えて融資してはならないという規制のこと(2010年6月施行)。借りる側に立つと、例えば、年収300万円の人であれば、貸金業者から合計100万円を超えるお金は借りられない。貸金業者とは、具体的には消費者金融会社やクレジットカード会社のことで、消費者金融A社からすでに80万円を借りている場合、クレジットカードB社から借りられる限度額は20万円となる。

 いままで、銀行のカードローンは総量規制の対象外だった。理由は単純で、銀行は貸金業者に分類されていないのだ。そのため、消費者金融会社やクレジットカード会社からの借入額が年収の3分の1に達している人でも、銀行のカードローンを利用すると、さらにお金を借りることができたのである。

 その結果、銀行カードローンの利用者はどんどん増え、全体の残高も急増。全国銀行協会によると、全国116行のカードローン残高の合計は2017年10月末で4兆4324億円となっている。一方、消費者金融とクレジットカード会社を合わせた2017年9月末の残高は4兆895億円。銀行の方が貸金業者よりも貸付残高は大きくなっている。

◆総量規制の枠を超えて借りることは困難

 そもそも、総量規制が実施された背景には、ローンによる多重債務者が社会問題となったことがある。そこで、多重債務者を減らすため、年収を基準にして借入限度額を設定したわけだ。しかし、銀行カードローンの存在が、総量規制を形骸化させてしまった。実際、2016年の個人の自己破産件数は前年比1.2%増の6万4637件と13年ぶりに増加し、要因のひとつとして、銀行カードローンの貸付残高の拡大が指摘されている。

 こうした状況を早くから問題視していたのが、日本弁護士連合会である。2016年9月、政府や全国銀行協会などに、「銀行等による過剰貸付の防止を求める意見書」を提出。これを機に、銀行カードローンの規制する機運が高まることになった。

 2017年に入り、一部の地方銀行は、カードローンへの社会的な批判に応える形で“自主ルール”として、総量規制の導入に動く。貸金業者からの借入残高を考慮して、融資を審査することにしたのである。同時に、「年収証明書不要」「審査迅速」といった借り入れを促すような広告・宣伝も自粛していく。

 そして、ついにというべきか、2017年10月、三菱東京UFJ、三井住友、みずほの3大メガバンクが、個人向けカードローンの融資限度額を借りる人の年収の2分の1あるいは3分の1までとする自主ルールを導入することになる(日本経済新聞10月19日付より)。この段階で、事実上、総量規制の枠を超えて、銀行カードローンを借りることが非常に困難となったのである。

◆システム上、即日融資も不可能に

 実は2018年1月からは、銀行カードローンの即日融資も停止されることになっている。カードローンを含めた新規の個人向け融資の審査に、警察庁のデータベースへの照会が組み込まれることになったからだ。各銀行は、預金保険機構を介して警察庁に専用回線で照会をするのだが、結果が判明するのは最短で翌営業日となる見通し。

 つまりシステム上、即日融資は不可能となるのである。これをきっかけに、審査を厳しくしていくという銀行も多く、総量規制を自主ルールとして導入していないところも、足並みを揃えてくるとみられている。

 この冬、カードローンの残高が総量規制に接近している人で、ちょっと散財しても、「また銀行で借りればいいや」と思っている人がいたら、大間違いである。銀行のカードローンが借りられず、途方に暮れてしまう人が続出するかもしれない。

文/松岡賢治

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