スマートフォンで操作といえば“IoT(モノのインターネット)”も気になる動きだ。
最先端のIoTデバイスを集結させた“スマートホステル”で注目されているのが「&AND HOSTEL」。各IoT機器はスマートフォンのアプリから使用できるが、客室の中にIoTデバイスを設置しても、これまでは各機器の操作には専用アプリが必要だった。
同社では、鍵を開けることをはじめ、電気を付ける、エアコンを操作するなど、各機器を1つのアプリから操作できる独自の「&IoTアプリ」を開発。様々なIoTデバイスの統合管理アプリケーションで、たとえばドアの鍵と連動した照明のON/OFF機能、快適な目覚めの演出など、デバイスの連携によって体験価値を向上させている。
&AND HOSTELはIoTルームとドミトリールームから構成。現在、上野、浅草、福岡で展開されているが、さらに都内、大阪など2018年度中に計10店舗の進出を予定している。宿泊施設で最先端の技術を体験できることで、コンセプト型ルームとして客室の価値を高めつつ、ある種の実証実験の場ともなっているのだ。
IoTデバイスはカプセルホテルでも登場している。「豪華カプセルホテル 安心お宿プレミア 新橋汐留店」はカプセル業界初の“loTスマートカプセル”を標榜する。専用タブレットで、カフェや浴場 トイレの混み具合が一目でわかる。安心お宿では全店で、ビットコイン電子決済を導入するなど、様々なトライがみられるブランドだ。
ホテルの語源は手厚いもてなしを意味するホスピタリィといわれる。ホテル活況による熾烈な顧客獲得合戦は多彩なサービスを誕生させているが、一方、ホテルとは人間によるホスピタリティを享受し、休み癒される場所というのが大原則だ。従来の常識にはとらわれないホテルサービスは、ゲストに何をもたらすのだろうか。
■文/瀧澤信秋(ホテル評論家)※写真提供も