ライフ

腸内細菌は肥満や糖尿病の発症にも関係するとの指摘

その肥満、腸内細菌のせいかも

 食べ物の消化・吸収、便の排出……「腸の機能」といわれた時、頭に浮かぶのはそうしたイメージだろう。

 しかし近年、様々な研究が進められ、腸が持つ新たな「力」が次々と明らかになっている。とりわけ注目されるのが「腸の免疫パワー」で、これまで根治が難しいとされてきた病が克服できる可能性だ。成人男性の腸の長さはおよそ7~9メートルあり、表面積はテニスコート1面分にも及ぶ。“広大”な腸には約1000種類、約100兆個の「腸内細菌」が生息し、夥しい数の腸内細菌が集まって「腸内フローラ(腸内細菌叢)」と呼ばれる生態系を形成している。

 そもそも人間の体に備わる免疫とは、体外から侵入してきたウイルスや細菌などの異物を「免疫細胞」の働きで排除するシステムのことだ。免疫細胞の7割が腸内に集中しており、異物との戦いに備える。

 この腸内細菌は「肥満」にも関係する。カギは、腸内細菌の働きで産生される「短鎖脂肪酸(SCFA)」だ。九州大学大学院医学研究院病態制御内科学分野の小川佳宏教授が解説する。

「腸内細菌が産生するSCFAは腸管ホルモンの分泌を促します。このホルモンは消化管の神経系や摂食中枢に作用して、『食欲を抑制せよ』とのメッセージを出して肥満を未然に防ぐ。ただしSCFAを産生する腸内細菌が腸内フローラの乱れにより減少した場合は、食欲を抑制するホルモンが減少して肥満をもたらす可能性があります」

 海外の研究では、肥満女性にSCFAのひとつである酢酸を経口投与すると、腸管ホルモンが増加することが報告されている。腸内細菌が免疫を介して「糖尿病」の発症に関係するとの指摘もある。

関連キーワード

関連記事

トピックス

水原一平氏のSNS周りでは1人の少女に注目が集まる(時事通信フォト)
水原一平氏とインフルエンサー少女 “副業のアンバサダー”が「ベンチ入り」「大谷翔平のホームランボールをゲット」の謎、SNS投稿は削除済
週刊ポスト
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
女性セブン
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン