「男性に好意を持たれて仕事がもらえるなら、どれだけラクだったか。幸い、私は容姿に恵まれなかったから、そんなチャンスはありませんでした。“仕事をちらつかされて”というのは、結局は実力がないから。本当に力のある人なら、そんな関係はなくても仕事はやってきます。どうしても嫌だったら、言葉巧みに誘われても食事を断わるべきだし、部屋に行かなければいい」
そのうえで、女性側の意識も問題だとクギをさした。
「男性は“自分を受け入れてくれそうな女性”に近づこうとするものです。気づかないうちに好意と受け取られかねない態度を見せたりしていないか、気をつけてほしい」
漫画家の倉田真由美さん(46才)も「パワハラやセクハラが悪いというのは大前提」としたうえで、ネットでの実名告発に疑問を投げかける。
「ネットで一方的に告発し、世界中に発信するのは、とても危険だと思います。痴漢ですら冤罪の場合があるんですから、セクハラに関してはかなり冤罪の可能性が含まれているのではないでしょうか。そもそも人によってセクハラやパワハラの受け止め方は違います。
私は“倉田さん太ったね”と言われても気に留めないけど、すごく気にする人もいる。そんな曖昧なケースでも、“加害者”と名指しされた人は社会的に大きな制裁を受け、それがネット上で半永久的に残ってしまうんです」
さらに#MeTooで散見される「10年、20年前にこんなことがあった」という“過去の告発”に対しても倉田さんは否定的な考えだ。
「嫌な思いをしているならリアルタイムで言うべき。何年もしてから“あの時、傷ついたんです”と言われても、言われた方が困るでしょうし、どれだけ信憑性があるのかという話になってしまう」
もちろんそれは「泣き寝入りしろ」という意味ではない。
「基本的にはセクハラやパワハラを大きな問題にするのは賛成です。法治国家なのだから、被害にあったら世間に宣伝するんじゃなくて、法的に訴えるべきだと思います」(倉田さん)
自らの投稿が大きな波紋を広げているのを受け、ドヌーヴは自身の単独署名で「リベラシオン」紙にこう書簡を発表した。
《他者を断罪し、裁き、批判する資格が自分にあると、あらゆる人が感じている現状は好きではありません》とセクハラ告発運動への違和感を改めて表明しつつ、こう締めくくった。
《『ル・モンド』に掲載された文書によって攻撃されたと感じたすべての憎むべき行為の被害者に親愛の情を示し、被害者に対して謝ります》
憎むべきはセクハラやパワハラ。何が正義か――見極める目が必要だ。
※女性セブン2018年2月1日号