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2018.01.25 07:00  マネーポストWEB

確定申告をすれば想像以上に簡単な作業で大金戻る可能性も

取られすぎた税金を取り戻す唯一の手段


 来年度の税制改正ではサラリーマンへの所得増税が行なわれ、翌2019年10月には消費税10%も導入予定だ。その負担は今後、国民に重くのしかかってくる。「老後破産」どころか「老前破産」の危機が指摘されるこの時代、老後資金は自分で守り抜く必要がある。取られすぎた税金を取り戻す唯一の手段が確定申告だ。実は想像している以上に簡単な作業で大金が戻ってくる可能性がある。

◆「ハンコを押しただけ」

 会社員なら、「年末調整」と聞けば“還付金が出る”“妻に内緒でヘソクリできる”と心が躍る。

 しかし、「確定申告」と言われるとなかなか縁遠い。小難しい書類の作成を求められたうえに、冷徹な税務署員に“それは経費として認められない”と突っぱねられるイメージを多くの人が持っているのではないか。

 会社を定年退職した年金生活者も同じだろう。現在、公的年金の受給額は原則「年間400万円以下」なら確定申告は不要となっている。そのため、アパート経営などでの“副業収入”や投資の利益があった人を別にすれば、無縁の人が大半だ。

 2年前に定年退職したAさん(67)も、それまで「税務署」は“税金を取る役所”と考えていた。ところが、在籍していた会社の経理担当の後輩に勧められて昨年初めて確定申告をしたところ、なんと30万円以上のお金が戻ってきた。

「びっくりしました。難しい計算は何もしてません。後輩から“持っていったほうがいい”といわれた書類をそのまま“ある所”へ持っていったら、1時間もかからずに全部やってくれたんです」

 Aさんの確定申告の詳細は後述するが、税務署に抱いていたイメージが一変する経験だったという。

 Aさんが訪ねたのは、確定申告の期間に税務署ごとに開いている申告会場だった。2月で申告シーズンが始まったばかりとあって賑わっていたが、15分ほどで順番が回ってきた。Aさんが相談員にこう説明する。

「去年、定年退職して確定申告は初めてです。会社の経理の後輩に、税金の還付を受けられるはずだといわれて書類を持ってきました」

 相談員は書類を一通りチェックすると慣れた手つきで電卓を叩き始めた。具体的にどんな手続きを行なうのか。『年金生活者・定年退職者のための確定申告』の監修者で税務相談員の経験を持つ山本宏・税理士の話だ。

「相談会と称していますが、実際は確定申告の手続きをほぼ代行してくれます。会場はビルの大きな貸ホールなどで、相談員は税務署員と地元の税理士会に所属する税理士がほぼ半数ずつ。申告者がやらなければならないのは、相談員がパソコン入力するために書類を整理するくらい。それも相談員が手取り足取り教えてくれます。入力が終わると申告書がプリントされ、それに認め印を押せばその場で受理されます」

 Aさんが「拍子抜けするほど簡単だった」というのも頷ける。

 還付を受けたい場合、準備したほうがいいのは「国民健康保険」など家族全員分の社会保険料の納付額通知書、病院代など「医療費」の領収書、「住宅ローン」控除を受ける人はその書類などだ。実はサラリーマン時代に年末調整で会社に提出していたのと同じものばかりだ。

「税務申告といっても、年金生活者や再雇用のサラリーマンの場合、個人事業主と違って経費を認める、認めないで税務署ともめることはないから、過剰な心配はいりません。医療費の領収証は、計算しないでまとめて持参し、その場で税理士と整理したほうが計算もあっという間で手間もかからない」(山本氏)

 これでまとまった税金が取り戻せるのだから、確定申告をしないのは大損のように思えてくる。

◆退職金で“30万円”取り戻す

 退職金を受け取った年は特に「確定申告」を忘れないようにしたい。退職した年は給与所得が大きく減るが、「退職金一時金」も課税され天引きされる。そのため給与は少ないのに納税額は多くなる。

 住宅ローンや多額の医療費を払っている人なら、その税金を多く取り戻せる。冒頭で紹介した「30万円」の還付金を受けたAさんはこのケースだ。

 Aさんは4月の65歳の誕生日に退職し、退職金1600万円を一時金でもらった。この年の収入は給料80万円と年金120万円。退職金を合わせた所得税額32万312円が源泉徴収されていた。Aさんの「確定申告」の概要はこうだった。

【1】住宅ローン残高・約1000万円(還付額10万円)
【2】特養に入所している父の施設費など医療費約50万円(還付金4万円)
【3】社会保険料25万7000円(還付金2万7500円)

 それらを柱に、地震保険料や生命保険料、配偶者控除などを積み上げると納税額はゼロ。つまり源泉徴収されていた32万312円が全額戻ってきたのである。

 Aさんの節税効果はそれだけではない。所得税の「確定申告」を行なえば、その申告をもとに地方住民税が計算され、市町村から納付書が送られてくる(給与所得者は源泉徴収)。所得税額がほぼゼロとなったAさんの場合、その年の地方住民税も大幅に下がった。

 実は、「確定申告」による節税効果は戻ってくる金額の2倍近い。Aさんは確定申告しなかった場合と較べると所得税、住民税を合わせると50万円以上の税金を取り戻したことになる。

 確定申告をしないことは「見えない税金」を払っているのと同じなのだ。

※週刊ポスト2018年2月2日号

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