時効期間が3年という債権は、医師などの診療報酬債権や建築工事の請負代金などです。友人同士の金銭貸借による返還債務は、通常の民事債務ですから時効期間は10年で、返済日の約束があればその翌日から、特に返済期限を決めていなければ貸した日の翌日から起算します。まだ3年しか経っていない貸付金に対する友人の言い分は通用しません。
民法や商法で定められている消滅時効の時効期間は、債務の種類で細かく分かれており、わかりにくく不便です。そのせいで友人も誤解したのでしょう。先ごろ成立した民法の改正法では、一律に権利行使できることを知った時点から5年、知らなくても権利行使できるときから10年に変わります。ただし、不法行為による損害賠償請求権は従来どおり3年原則です。生命・身体への侵害によるものが5年になります。
【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。
※週刊ポスト2018年2月2日号