キャリア

森永卓郎氏が「プレミアムフライデー」を重要視する真意

なかなか浸透しない「プレミアムフライデー」

 月末金曜日の仕事を午後3時で切り上げる「プレミアムフライデー」が、2017年2月末からスタートしている。安倍政権の働き方改革の目玉であり、経済産業省と財界が一緒になって旗振り役をしたにもかかわらず、実施する企業はわずか数%と苦難の船出となった。その後もなかなか浸透せず、働く人たちからも「忙しい月末に早帰りなどできない」、「実施できるのは余裕のある大企業だけ」など、評判は散々だ。しかし、経済アナリスト・森永卓郎氏は、「プレミアムフライデーをもっと定着、拡充していくべきだ」と提言する。その真意は何か。

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 私は、プレミアムフライデーは週休3日制への重要な第一歩になると考えている。

今や世のサラリーマンは、AI(人工知能)などの普及による生産性向上で、職を奪われかねないと戦々恐々とし始めている。たとえば、野村総研では、将来的にAIが49%の職業を消滅させることになると予測している。しかし、実は恐れる必要はない。週休3日制で労働時間を短縮すれば、本当は何の問題も起こらないはずなのだ。

 サラリーマンの働き方を変えるには、とてつもなく長い時間が必要になる。たとえば、1980年代半ばまで、日本では週休2日制は一般的でなかった。当時、経済企画庁に勤めていた私は、労働時間短縮を掲げ、週休2日制の普及を強く主張していた。それに対して、当時は物凄い批判を浴びた。通産省はおろか、労働省にも呼び出され、「そんなことをしたら、日本の中小企業はみんな潰れてしまう」と非難されたのだった。

 あれから30年経って、今では9割のサラリーマンが、何らかの週休2日制の恩恵にあずかれるようになった。だから、週休3日制も30年計画で推進していくべきだと考えている。

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