◆「お前もぶっ飛ばすぞ!」
関係者への取材を総合すると、事件当夜の経緯を明かしている1通目の「意見書」では、暴力行為に走った当事者である日馬富士以上に、「白鵬の言動」に関して、協会の報告書の記載への反論が目立つという。
「たとえば、協会の報告書には事件の起きた鳥取での会合で、『(出席していたメンバーの一人である)照ノ富士は、多量の日本酒を飲んで大分酔っていた』という記述があります。この部分について、貴乃花側の意見書では、照ノ富士が蜂窩織炎(ほうかしきえん・毛穴や傷口から細菌が侵入して、皮膚の深い組織が炎症を起こす感染症)を抱えていて飲酒を控えなければいけなかったのに、“白鵬がジョッキに日本酒を注いで飲ませた”といった状況の詳細が克明に記されている」(協会関係者)
事件当夜の二次会では、宴席が進むうちに白鵬の説教が始まり、一段落したところで貴ノ岩がスマホをいじったので、日馬富士がその態度に激高──協会の報告書などをもとに、繰り返し報じられてきた経緯だが、貴乃花親方側の「意見書」では、かなりニュアンスが違っているという。
「白鵬は貴ノ岩にひとしきり説教した後で、照ノ富士に対して『お前も調子に乗っているとぶっ飛ばすぞ!』と言い捨てて、いったん説教を終えたという経緯が意見書には記されている。しかも貴ノ岩がスマホをいじったのは、それから10~20分後のことだというのです。つまり、“大横綱・白鵬の説教中にスマホをいじった貴ノ岩も礼を失していた”という話自体が、印象操作であるという反論です。
また、協会の報告書には正座した照ノ富士が、日馬富士に叱責され、頬を張られたという話が出てきますが、貴乃花側の意見書では、やり取りの中で激高した白鵬が照ノ富士に対して『土下座しろ』と命じた経緯が細かく記述されています。照ノ富士は膝を負傷していたため、正座を保てずに途中から膝立ち状態だったというのです」(同前)