近藤哲二郎氏はソニーでデジタル高画質技術を開発した技術者


 視聴会場には、向かって左側にI3研究所製のBDプレーヤーと船井電機の65インチ・4K液晶テレビが、右側には国内大手メーカー製の同サイズの4K液晶テレビとBDプレーヤーが設置されていた。

 ただし前者の液晶テレビでは画像処理技術が外され、液晶パネルにされていた。これはS-Visionの映像技術だけを画面で再現するためだという。しかもHDRにも対応していない。後者は、テレビもプレーヤーもHDR対応製品である。スペックだけを比較すると、S-Visionが圧倒的に不利である。

 コンテンツは、いま流行の「4KHDR」対応BDディスクで、他社の視聴会でもよく使われている「宮古島」の映像だった。

 しかし実際に視聴すると、海水浴を楽しむ人たちのシーンではS-Visionは一番奥にいる人の姿や動きがはっきりと分かり、岩にぶつかる波しぶきも飛び散る水滴がくっきりと見えた。いまにも水しぶきがかかるのではと感じたほどだ。

 さらに画面のどこを見てもすべてに焦点があたっているため、奥行きが感じられ臨場感あふれる映像になっていた。カメラで撮影した場合、焦点のあたった箇所は明瞭になるが、それ以外はボケた映像になる。これはカメラが持つ特性であり、避けられない。

 大手国内メーカーの4Kテレビの画面は、まさにその通りになっていた。焦点の当たった箇所は明瞭だが、それ以外は曖昧なため、どうしても平板な映像になってしまっていたのだ。そのため奥行き感や臨場感が、まったく感じられなかった。

 では、「明るさ」はどうだろうか。

 HDRは従来の100倍以上の明るさを実証できるだろうか。選ばれたコンテンツは、すでに市販されているハリウッドのアクション映画(BDディスク)だった。

 結果から先にいえば、飛び散る血の赤の明るさ、人間の表情、戦闘場面になった工場内のシーン等々、いずれもHDRに対応していないI3研究所のプレーヤーの映像が圧倒的に明るく、そして明瞭な映像だった。しかも視聴が終わったあとで分かったのだが、同じコンテンツでもI3研究所は4KではなくHDタイプを使用していた。

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