投資情報会社・フィスコ(担当・田代明美氏)が、株式市場の2月5日~2月9日の動きを振り返りつつ、2月13日~2月16日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は下落。約4カ月ぶりの安値水準を付けている。2日に発表された1月の米雇用統計の強い結果を受けて10年債利回りが急上昇。利上げペースが加速するとの懸念からNYダウは665ドル安と大きく下落し、25日線を一気に割り込んだ。この影響から週明けの日経平均は592円安となり、これまでのもち合いレンジを下放れた。
さらに週明けの米国市場では長期金利の急上昇が嫌気され、NYダウは1175ドル安と過去最大の下落幅となると、これを受けた日経平均は1071円安と急落。その後は自律反発をみせるものの、8日のNYダウが再び1000ドルを超える下落となる中、週末の日経平均は500円を超える下げとなった。
長期金利の急上昇がきっかけで、アルゴリズムによってヘッジ売りニーズ等が集中したようであるが、市場で話題となったのが、ボラティリティの指数を含め指数連動のデリバティブの取引による影響だった。世界的な景気拡大や、緩和的な金融政策を背景に、2年間程度の低ボラティリティ相場が続く中、VIXベアの建玉が積み上がっていた。償還価格も4倍近く上昇。これが米長期金利の上昇を背景とした米株安を受けて、対象となるVIX指数が過去最大の上げ幅を記録。VIXベアは一気に9割以上下落する格好となった。
対象となるVIX指数が3%程度変動すると先物を売るとみられているが、足元でのVIXの変動率はこれを大きく上回っており、相場下落の一因となっている。ポジション解消の動きは一巡したとの見方がされるものの、1~2日で需給状況が一気に改善するとは考えづらく、しばらくは波乱含みの相場展開が続きそうだ。
また、今週12日に米2019年度予算教書が公表される。報道によると米議会は連邦政府予算の歳出上限を、今後2年で計3000億ドル(約33兆円)積み増す案で最終調整に入ったと伝えられている。大幅な増額となる中、国債増発懸念が高まる可能性を指摘する向きもある。これが長期金利の上昇圧力となり、株式市場への波乱要因となる可能性がありそうだ。
一方でインデックスに絡んだ売買が中心となるなか、指数インパクトの大きい銘柄の荒い値動きが続いているが、一方で指数に振らされない中小型株などへは、決算評価の動きなども散見される。相場全体の地合いに振らされる格好からイレギュラーな価格を形成している銘柄等へは冷静に押し目を拾うスタンスになりそうだ。