ビジネス

大前研一氏 「賃上げ一律3%」の大合唱は時代遅れだ!

政府が賃上げに介入する愚について大前氏が語る

 政府が「同一労働同一賃金」実現を叫び、「3%の賃上げ」実現を要請している。まるで、それさえできれば様々な労働条件の課題が解決に向かうような口ぶりだが、本当に実現できるのか。新刊『個人が企業を強くする──「エクセレント・パーソン」になるための働き方』を上梓したばかりの経営コンサルタントの大前研一氏が、これらの政策提言に苦言を呈する。

 * * *
 安倍政権が経済界に賃上げを要請する「官製春闘」が5年連続となった。安倍晋三首相が「3%の賃上げが実現するよう期待したい」と言えば、それに呼応するように、経団連の榊原定征会長も「3%の賃上げという社会的期待を意識した上で、従来より踏み込む」と述べ、連合は定期昇給を含めて「4%程度」の賃上げを求めている。

 まさに政府主導の予定調和であり、私にはさっぱり理解できない。金属労協の高倉明議長が「労働条件はそれぞれの労使が主体的に判断するものであり、政府が不当に介入することは絶対に避けるべきだ」と官製春闘を批判したと報じられたが、これはけだし正論である。そもそも「一律の賃上げ」自体が昭和の発想であり、完全に時代遅れである。

 安倍首相は「同一労働同一賃金」を実現すると声高に叫んでいるが、これも間違いだ。仕事の質や成果、地域差に関係なく「同一労働同一賃金」と言われたら生産性は下がる一方で、企業は賃金が安い国に出て行くしかないので、国内雇用が減るだけである。それを言うなら、正規であれ非正規であれ「同一生産性同一賃金」「同一成果同一賃金」にすべきである。そして、高い生産性・高い成果を上げる社員に対しては、3%などという微々たる賃上げではなく、給料を2倍、3倍にしなければならない。

関連記事

トピックス

水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
3大会連続の五輪出場
【闘病を乗り越えてパリ五輪出場決定】池江璃花子、強くなるために決断した“母の支え”との別れ
女性セブン
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン