二つ目は、適度な運動習慣をもつこと。歩く習慣のある人は認知症の発症率が40%低いというアメリカの研究論文がある。いつもよりも少し歩幅を広げ、速足で歩いてみよう。一日10分でいい。
効果的な運動がある。コグニサイズという運動だ。これはコグニッション(認知)と、エクササイズ(運動)を合わせた言葉で、認知訓練と運動訓練を同時にすることをいう。たとえば、ウォーキングをしながら、100から3を引き続けていく。あるいは英会話を聞きながら歩くというのもいい。体を動かしながら、頭を使えばいいのだ。
三つ目は、料理のすすめ。いくつかの作業を同時に行なう料理は、コグニサイズの代表格だ。ただし、いつもみそ汁を作っている人が、いつものようにみそ汁を作ったのではあまり脳を刺激しない。新たな料理に挑戦することが大事だ。最近は、料理男子が増えているというが、料理初心者こそコグニサイズとしての料理の効果は高そうだ。
食事の内容も、重要になる。ハーバード大学が2015年11月、手料理で糖尿病リスクが下がると発表している。米国の男女10万人を調べた結果、毎日手作りの食事を食べている人はそうでない人と比べて、糖尿病になるリスクが13%も低かった。
オーストラリアのディーキン大学とオーストラリア国立大学の研究によると、塩分の多いスナック菓子や砂糖入り飲料などを日常的に摂っている人は、健康的な食事を続けている人に比べて、海馬の容積が小さくなっているという。海馬は記憶を司る脳の部位。認知症患者の多くは海馬の機能が低下している。