「t-PA治療は血栓を溶かすには有効ですが、社会復帰できるまで回復するのは実施した患者の40%弱で、血管内治療でもそれほど多くないのが現状です。中には劇的に回復した患者さんもいらっしゃいますが、様々な条件が整った幸運なケースといえます」(長尾部長)
脳梗塞で脳細胞が広範囲に死滅している症例に対し、無理に血栓を溶かそうとしたり、除去する治療を行なうことで血流を回復させると血管が破れ、脳出血を起こし、死亡することもある。治療方法は家族も交え、専門医と検査機器が整っている医療施設で相談することが重要だ。
東京都などでは専門施設リストがあり、発症後、直ちに救急搬送する仕組みが構築されている。
●取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2018年3月16日号