国際情報

ベトナム人 過去を謝罪してもらわない限り、韓国を許せない

韓国軍虐殺事件の生き残りの一人レ・ヴァン・チェンさん

 昨秋、韓国紙は文在寅大統領が過去の「ベトナム大虐殺」を謝罪したと報じた(韓国「中央日報」2017年11月15日付)。謝罪の中で文在寅は「韓国はベトナムに『心の負債(心の借り)』があります」と述べたという。ベトナムの被害者たちに、文氏の“謝罪”はどう受け止められたのか。フォトジャーナリストの村山康文氏が、現地から報告する。

 * * *
「文大統領が誰かを知らないし、謝ったことも知らない。しかし、韓国軍がベトナムで罪もない民間人を虐殺したのだから、謝罪するのは当然のことだ。それにしても、『心の借り』とは何のことか。そんな表現では到底納得できない。韓国とベトナムの文化交流や経済発展のための活動が大事だというなら、それ以前に過去のあやまちを謝罪してもらわない限り、韓国のことは許せない」

 ベトナム中部フーイエン省の省都・トゥイホアから北に約30km。トゥイアン県アンニンタイ村のギア市場で出会ったレ・ヴァン・チェンさん(72歳)は、韓国への思いをそう吐き出した。チェンさんの言う、韓国が犯した「過去のあやまち」とは何を指すのか。

 ベトナム戦争に参戦した韓国軍は、ここフーイエン省を含むベトナム中部の沿岸部(国道1号線沿い)を中心に駐屯した。1965年10月、韓国軍は本格的に戦闘部隊の投入を開始した。

 間もなく、悲劇の幕が開く。ベトナム中部のいたる所で、「ゲリラ掃討」を名目に、韓国軍による民間人虐殺事件が起きたのだ。韓国軍が撤退する73年までの間、虐殺現場は広範囲にわたり、犠牲者の数は1万人近くに及ぶとされる。

 チェンさんは、韓国軍による虐殺を逃れ、生き延びた一人。その時の様子をこう証言した。 「市場を韓国軍が襲ったのは夕食をとった後の夜8時頃のこと。突然、辺りに銃声や叫び声がこだまし、怖くて家から出られなかった」

関連キーワード

関連記事

トピックス

NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
カラオケ大会を開催した中条きよし・維新参院議員
中条きよし・維新参院議員 芸能活動引退のはずが「カラオケ大会」で“おひねり営業”の現場
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
襲撃翌日には、大分で参院補選の応援演説に立った(時事通信フォト)
「犯人は黙秘」「動機は不明」の岸田首相襲撃テロから1年 各県警に「専門部署」新設、警備強化で「選挙演説のスキ」は埋められるのか
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン