まるで一人勝ちするグローバル企業のようである。もっとも、大きくなりすぎて生きていけなくなる木もあるのだが、オーク(楢)は〈いちど死んだふりをして復活するという技を身につけた〉というから、たくましい。
その一方、「雑草」もがんばっている。〈雑草の多くは生育がはやいだけでなく、繁殖力が強く膨大な数のタネをつくる。なかには、長いあいだ休眠することができ、望みどおりの条件が揃ったときにだけ芽を出すものもある。環境が整っているので根づきやすく、のびのび育つことができるからだ〉。
そんな雑草の可憐な花々を特殊な手法で撮影したのが大作晃一写真・多田多恵子文の『美しき小さな雑草の花図鑑』(山と渓谷社)だ。虫の視線から見れば、どの花も驚くほど個性豊かだ。懸命に生き抜こうとする雑草の姿に癒される。
※週刊ポスト2018年3月16日号