芸能

門脇麦 『トドメの接吻』で「不気味カワイイ」魅力全開

番組公式HPより

 門脇麦は不思議な女優──彼女の作品を観た大多数の人がそう感じているのではないか。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が分析した。

 * * *
 今週最終回を迎えた『トドメの接吻』(日本テレビ系)は、一風変ったドラマでした。

 やたらキスばかりして、そのたびに話がタイムリープし過去に戻ってしまう。見ている側は時系列がゴチャゴチャして頭がこんがらがってしまう。最初は正直、奇をてらったドラマに見えたのです。しかし、じわじわと染み出してくる「切なさ」。これはいったい何? 途中から不思議な「切なさ」に惹きつけられて最後まで引っ張られてしまいました。

 その「切なさ」を醸し出した原動力とは……まさしく「門脇麦」の存在にあったと言えるでしょう。

 物語の主人公・旺太郎(山崎賢人)は、金と権力しか信じず成り上がることが目的のホスト。そのクズな旺太郎を、キスをすることで死に至らしめる謎の女が宰子(門脇麦)。キスで7日の時間を遡りタイムリープすることで、旺太郎は人生の別の選択を繰り返していく、というストーリー。

 冒頭、宰子の登場は不気味でした。オドオドしていて上手くしゃべれず、身体もロボットのようにぎくしゃくし、日本人形のようにオカッパ頭で無表情。

 その宰子が、建物の影でひっそり旺太郎を見張る姿はまるでホラー。無機質感とホラー感が混ざりあった、見たこともない独特な存在。その宰子がねっとりとした肉厚の唇で旺太郎にキスを迫る異色の展開……。

 しかし途中で風向きが変わっていく。

 実は、宰子は海難事故の生き残りで旺太郎に助け出された。そのせいで旺太郎の弟は死んでしまった。生き残った自分を責める宰子。私は幸せになれない。でも、せめてこの人を幸せにしたい。「アナタが幸せになるまで何度でもキスする」「私、アナタの役に立つ道具になる」と、キスの特殊能力を旺太郎のために捧げる。

「自分はキスの道具」と覚悟した宰子の中で、しかし少しずつ膨らんでいく旺太郎への想い。そのあたりから薄気味悪い謎の女が、透明感やあどけなさを纏った少女に見えてきた。不器用ゆえのかわいらしさ、純粋さ。感情と体温を感じさせる人物へと変化していき、切なさが溢れ出てきたのでした。

 まさに女優・門脇麦にしか見せることのできない「不気味カワイイ」宰子像が浮かび上がりました。

関連記事

トピックス

カラオケ大会を開催した中条きよし・維新参院議員
中条きよし・維新参院議員 芸能活動引退のはずが「カラオケ大会」で“おひねり営業”の現場
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
襲撃翌日には、大分で参院補選の応援演説に立った(時事通信フォト)
「犯人は黙秘」「動機は不明」の岸田首相襲撃テロから1年 各県警に「専門部署」新設、警備強化で「選挙演説のスキ」は埋められるのか
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン
襲撃翌日には、大分で参院補選の応援演説に立った(時事通信フォト)
「犯人は黙秘」「動機は不明」の岸田首相襲撃テロから1年 各県警に「専門部署」新設、警備強化で「選挙演説のスキ」は埋められるのか
NEWSポストセブン