このコーヒー、ポリフェノールの一種であるクロロゲン酸を豊富に含み、「通常、クロロゲン酸を多く抽出しようとすると酸味が強くなって飲みにくくなりますが、焙煎メーカーと共同開発してひと工夫したことで、調和のとれた酸味に仕上がった」(同)として、発表会場で配られた試飲用コーヒーのカップにもクロロゲン酸の文字を刻印するなどアピールポイントとして打ち出している。
実際に試飲した印象は、味覚は個人差があるので難しいが、やはり酸味は通常のコーヒーよりは強めで、たとえば最近リニューアルした「セブンカフェ」のコーヒーのほうが、明らかにコクを感じた。
インターネット通販で売られている、タニタのコーヒードリップが10袋で税込み1620円と、1杯換算で162円。対して、セブンカフェのリニューアル品は価格据え置きで、レギュラーサイズならホットもアイスも税込み100円なので、価格競争力的にはちょっと微妙だ。また、ドリップバッグコーヒーという土俵で比べても、通販専門のブルックスコーヒーの一番人気、モカブレンドが1杯30円前後なので価格差は大きい。
浅尾氏は「スポーツジムやドラッグストアとのコラボレーションも考えており、テイクアウト専門のスタンド店も検討する」としていた。確かにジムやドラッグストアの客層にはある程度、訴求できそうだが、テイクアウト専門店でサラダや米麺と一緒にコーヒーもついで買い、となるかはこれまた微妙。
それでなくてもコーヒー市場は争奪戦が激しく、大乱戦の様相だからである。
レギュラー缶と呼ばれる、従来の缶コーヒー市場が縮小し、変わってボトル缶が伸長。さらに飲料で2位メーカーのサントリー食品インターナショナル(以下サントリー)が昨年投入した、中身が見えるペットボトル形状の「クラフトボス」(ブラックとラテ)がヒットしたが、持ち運びができる点はボトル缶と同様ながら、従来より量が多めで、缶特有の匂いがつかないペットボトル形状だという点も消費者に評価された要因のようだ。
ともあれ、サントリーのクラフトボスが当たったことで、ほかの飲料メーカーは昨年、「ワンダ」擁するアサヒ飲料は前年比で99.4%とコーヒーの販売が100を割り込み、「ファイア」で戦うキリンビバレッジに至っては前年比で92%とかなりの苦戦を強いられた。
この2社は今年、巻き返しで反転攻勢に打って出るほか、飲料メーカー首位の日本コカ・コーラも、クラフトボスでジワリとシェアの差を詰めてきたサントリーを突き放すための対策を打ってくるはずだ。