国内

梶田隆章氏「日本はノーベル賞受賞者いなくなり後進国になる」

東京大学宇宙線研究所所長の梶田隆章氏

 2000年以降の18年間で17──人自然科学分野で相次ぐ日本人のノーベル賞受賞ラッシュによって、「科学技術立国・日本の面目躍如」と伝えるメディアは多い。ところが、2015年にノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章氏は、「このままでは日本人のノーベル賞受賞者がいなくなる」と警鐘を鳴らす。

 * * *
 2000年以降、日本人のノーベル賞受賞者が多く生まれた。その理由は、1980~1990年代に行われた研究が評価されたからだと私は考えている。そのころは、いまより研究者が自由にのびのびと研究ができた時代だった。

 いつまでに何本の論文を発表しなければいけないという余計なプレッシャーもなく、もちろん大学の授業で講義をする必要はあるが、それ以外に研究に没頭できる時間的な余裕があった。雇用も安定していたから、成果を出すまでに長い時間がかかると予想されるような研究にもじっくりと取り組むことができた。

 ノーベル賞受賞のような、ある一定の成果につなげるためには、長年の地道な研究が不可欠だが、それができた時代だった。私の研究生活を振り返っても明らかにそうだったと断言できる。

 ありがたいことに29歳という、今と比べて相当若い時期に任期を気にしなくてよい助教(当時は助手)にしてもらうことができ、ある程度自由にやりたい研究をすることができた。考えをまとめる時間も必要だし、ボーッと空想にふけるような時間も必要だと私は思う。そうした研究環境がなければ、私の物理学賞の受賞は成しえなかったと思う。

関連キーワード

関連記事

トピックス

NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
カラオケ大会を開催した中条きよし・維新参院議員
中条きよし・維新参院議員 芸能活動引退のはずが「カラオケ大会」で“おひねり営業”の現場
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
襲撃翌日には、大分で参院補選の応援演説に立った(時事通信フォト)
「犯人は黙秘」「動機は不明」の岸田首相襲撃テロから1年 各県警に「専門部署」新設、警備強化で「選挙演説のスキ」は埋められるのか
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン