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台湾で発売された『大東亜戦争肯定論』 現地読者の反応は

「八旗文化」社長の富察氏

 昨年、台湾で“禁断の書”が発売された。『大東亜戦争肯定論』。もとは1963年、文芸評論家の林房雄氏が中央公論誌上に発表した論考で、林氏は先の大戦を「東亜百年戦争」「歴史の定めた運命」と位置づけた。当時の主流は、あの戦争は帝国主義による植民地簒奪戦争だったという考えだ。それだけに左派論壇から大きな反発を招く一方で、敗戦から眼を背けていた日本人に示唆を与えた。台湾の人々は、この本をどう読んでいるのか。ノンフィクションライターの西谷格氏がリポートする。

 * * *
 中国語版を刊行した出版社「八旗文化」の社長兼編集長・富察氏(47歳)は、「これまで『日本が一方的に侵略を開始した』とだけ教えられてきましたが、これは歴史を単純化している。台湾では、日本の右派の見解を紹介する本は少なく、言論空間に空白があった。私はその空白を埋めたいと思っています」と、その出版意図を語った。

 では、読者の反応はどうなのか。ネット上のレビューを読むと、「侵略の言い訳」、「責任逃れをしている」といった厳しいコメントが目立つ一方、一定の理解を示すものもある。

 実際に読者に会ってみた。花蓮市の東華大学で日本統治時代の台湾史を学んでいるという黄彦傑氏(大学生・20歳)は、「台湾人の歴史観は、国民党に洗脳されてきた。今こそ、新たな歴史観を得なければならない」と語った。彼は、本書の内容に概ね賛同を示した。

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