特に今の時代の日本人にとって「重要な問いかけ」になっていることがポイントです。なぜなら、人生について多くの人が悲観的になりがちだから。否定的になりがちだから。
生真面目な性格の人が多いと言われるこの国。秩序を尊重し道徳を守って、コツコツと真面目に努力し生きていく。他人との調和を大事にする傾向も強い。それは外国から高く評価される、いわば日本人の美徳でしょう。
しかしそれは一方で、世間一般のものの見方を疑わず受け入れる生き方につながり、違う個性を認められず集団の中で同調圧力を生じさせることにもつながることがあります。一元的な見方に流されがち、ということにも。壁が立ちはだかるとすぐ否定的なことをイメージしたり悲観的になってしまうのも、生真面目で決まりごとを疑うことが苦手な人の習性なのかもしれません。
タイトルの『半分、青い。』は鋭く問いかけてくる。本当にそうなの? それでいいの? と。雨音を聞き「今日は天気が良くないな」と悲観するあなた、それは本当なの?
今日は雨。しずくが光っていて特にキレイ、しっとり湿った葉っぱや石が輝いている。お肌も乾燥せずつるつるでいられる……と、面白いことはどこにでもありどこにでも見つかる。全ては自分がどう捉えるか、どう感じ取るかにかかっている。
『半分、青い。』に込められたそんな生活哲学。このドラマに大きな期待を感じる理由です。
この問いかけは、禅宗の有名な言葉「日々是好日(にちにちこれこうにち)」にも通じます。意味するところは、晴天であろうと嵐であろうと何かを失った日だろうと何かを得た日だろうと、ただ毎日は好日である、ということ。その「好」も、良いとか好きという一般的な意味あいを越えて、全てを好しとして受け入れる姿勢。「今日は雨が降っている、雨もまた楽しい」と過ごす。「雨の日=マイナス」と捉えてしまうワンパターンの発想そのものを、よし超えてしまえ、といった感覚です。
ちなみに今週金曜日のラストシーンは糸電話。鈴愛と律は糸電話を使って名前を呼び合いました。そう、まさしくお互い「一つの耳」を使っての温かなコミュニケーション。見過ごすことのできない、意味深なシーンでした。