• TOP
  • コラム
  • 女性活用、逆求人、1日で内定……新卒採用「売り手市場」の新潮流

コラム

2018.04.07 07:00  マネーポストWEB

女性活用、逆求人、1日で内定……新卒採用「売り手市場」の新潮流

新卒採用「売り手市場」の新潮流とは?(常見陽平氏)

 今年も大学生の就職活動が開始した。現在の中高年世代にとっては「リクルートブックが送られてきて興味がある会社にハガキを書いた」「男女雇用機会均等法以前は女性の採用が極端に少なかった」などの経験があるかもしれないが、昨今はネットでのエントリーが当たり前。性別や学校名を聞かないことなども普通になっている。今年は「売り手市場」と言われるが、そんな時代の就職活動の新潮流を千葉商科大学国際教養学部専任講師の常見陽平氏に聞いた。

――過去の就活のトレンドと最近の違いはなんでしょうか。

常見:ここ4年ぐらいの話で、女性の採用に力を入れています。女性活躍推進法の流れもあるため、総合職で女性を採ろうとする動きが目立っています。

――えっ? 「総合職」「一般職」という枠ってまだあったんですか!

常見:その枠の存在を明確に言わずとも、なんとなく女性と男性で仕事を分けている会社もそれなりに存在するんですよ。たとえば、女性は営業職に配属しない会社などですね。それがこの4年ほど、女性の総合職採用が強化されています。これまでは地方国立大学やMARCH、日東駒専クラスの大学から女性の総合職を採っていなかった企業が、アプローチをするようになりました。変化という意味では「女子学生の採用はずっとやっていたが、総合職としての採用はしていなかった」から「総合職としての女子学生を積極的に採用している」というのが変化といえるでしょう。

――採用活動は従業員にとって負担が大きいためAI(人工知能)を導入し、合理化すべきだ、という意見も聞かれるようですが、「AI選考」の現状はいかがでしょうか。

常見:ニュースでは話題になりますが、まだこれからですね。ソフトバンクやリクルートがエントリーシートのチェックをAIで行うことが話題になりました。人間が読むかAIが読むかは様々な面で踏み絵となる議論ですが、僕は肯定派です。というのも、AIを導入していれば少なくとも「ちゃんと読んでくれる」ということになるからです。

 人気企業ともなれば、数万枚のエントリーシートが届くわけです。管理職なども総動員してなんとか全部読む会社もありますが、AIであれば、いわゆる学歴フィルターで切られるとかそういうのがなく読んでもらえるわけです。

 エントリーシートの内容については、人間だって見誤るし、すさまじい労力がかかります。これをAIが代行するのはアリじゃないの、と思います。これは「HRテック」という領域ですが、採用の効率化ができるほか、これまで拾えなかった層を拾うことができることが期待されています。それこそ、大学のレベルで切られていた層にもチャンスがありますよね。

◆応募のハードルを下げるため学生に向け大サービス

――さらに新たな潮流というのはありますでしょうか?

常見:マジョリティーになってはいませんが、「スカウト型」というものもあります。たとえば、i-plugという企業が「オファーボックス」というサービスを提供しています。学生から応募するのではなく、学生が自分をPRするものを登録し、企業に見てもらう。企業は興味のある学生をスカウトするのです。単に学歴のラベルにならないように、エントリーシートをしっかり書かなくてはいけませんけどね。これは「逆求人」という仕組みです。ネット上だけでなく、イベント型のものもあります。学生がブースで人事担当者を待っているというものですね。

 売り手市場の今、企業はとにかく応募のハードルを下げるため、学生に対して大サービスをするという流れもあります。「1次面接に行ける券」などを出す企業や、「ウチは1日で内定出ますよ!」とアピールする企業ですね。企業は「面談」と称し、6月1日の建前上の選考開始前に「学生の不安を解消する」という名目でその大学OBと語らう会を開催したりもしています。これで学生を事前に掴んでおくのですね。内定を出す時期もますますフライングが進んでいます。

 あと、昨今のインターンはだいぶ変質しています。最近は半日~1日のワークショップや、セミナーをインターンと呼んでいます。内定を獲得するにはインターンに行かなくちゃいけないのかと思う学生もいるでしょうが、インターンからの採用って、外資やベンチャーを除き「公言」している会社は少ないですよ。あくまでも早期から企業のことを知ってもらいたいという位置づけです。ただ、実際は早めに接触し、優秀な学生はより内容の濃いインターンシップを案内したり「早期選考」の対象にし、「ウチを受けない?」と囲い込みをするのです。

◆常見陽平(つねみ・ようへい):千葉商科大学国際教養学部専任講師/働き方評論家/いしかわUIターン応援団長。北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業、同大学大学院社会学研究科修士課程修了(社会学修士)。リクルート、バンダイ、ベンチャー企業、フリーランス活動を経て2015年より千葉商科大学国際教養学部専任講師。専攻は労働社会学。大学生の就職活動、労使関係、労働問題を中心に、執筆・講演など幅広く活動中。『社畜上等!』(晶文社)『「働き方改革」の不都合な真実』(おおたとしまさ氏との共著、イースト・プレス)など著書多数。

■取材・文/中川淳一郎(ネットニュース編集者)

関連記事

トピックス